――日本の政治そのものが誤りを犯さないように <真理がわれらを自由にする>。東京・永田町の国立国会図書館に足を運ぶと、本館カウンターの上に刻まれた銘文が目に飛び込んでくる。人々が正しい情報を知ることが民主主義には不可欠――そんな意味だという。今、ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、偽情報を拡散することで安全保障体制が脅かされている。この一文を見上げたのは、暗雲垂れこめる時代に光るよりどころのような言葉だと感じたからかもしれない。 国会図書館ができたのは第二次大戦の敗戦から3年後、1948年6月のことだ。赤坂離宮(現在の迎賓館)を仮庁舎に開館し、68年に現庁舎である本館が完成した。くだんの銘文は初代館長を務めた金森徳次郎の筆跡だが、発案したのは歴史学者の羽仁五郎(1901~83年)。第1回参院選に立候補して議員となり、参院の図書館運営委員長を務めた人物だという。 映画監督の羽仁進さん(93)