方法論的メモ オタク系サブカルチャーの研究をポストモダン社会論として行うことにはそれなりの危険がある。近年のマンガ研究において浮上した「反映論」と「表現論」との対立という偽の構図に照らしていえば、もちろん「表現論」が正しい――というかその次元を踏まえずにはマンガとか映画とか文学を社会学の素材として用いることに意味はない。「反映論」はそれなりに根拠はあるにしても、必ずしも自明ではない前提――芸術作品だのエンターテインメントだのにおいて表現される物語その他の内容が、現実社会において生起している現象、問題を、デフォルメしつつ有意味な形で表現している――に乗っかっている。しかしもちろん、こういう「素朴リアリズムへの信頼」は必ずしも自明ではない。たとえば文学やマンガの中で多重人格が好んで素材として取り上げられているからといって、それが現実における多重人格現象を適切に反映しているとは限らない。 という
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