テレビや新聞ではほとんど報じられていないが、地価の高騰する東京で土地取引をめぐる詐欺が続発している。知らぬ間に土地やカネが盗み取られる地面師詐欺はどう遂行されるのか? 詳細に迫る。 役割分担された犯行 都心のビルや土地を所有するニセの地主を仕立て上げ、売買を仕組んで買い主から億単位の代金を騙し取る地面師詐欺は、捜査員たちのあいだで「ニンベン」とも呼ばれる。「偽」の字の部首から取られた符牒だ。 1月25日、不動産業者の耳目を集めた地面師事件の裁判の判決が、東京地裁であった。午後1時30分、証言台に立った被告人は内田マイク(63歳)という。 身長180cmほどの長身で、がっしりした体軀の被告人は、丸坊主に近い白髪交じりの短髪に黒縁メガネをかけ、黒いジャケットに赤いチェックのシャツ。一見すると、ラグビーの監督のようないでたちだ。その正体はかつて「池袋グループ」と呼ばれた集団を率い、いまや日本の地