安倍首相は8月28日、持病である潰瘍性大腸炎の再発を理由に辞任する意向を表明した。連続在職日数歴代1位の政治的安定は、日米を始めとする首脳外交に貢献したが、内政の成果は乏しい。安倍首相が長期政権を維持できたのはなぜか。その問いに対するシンプルな答えは、衆参の国政選挙に勝ち続けたことにある。2012年9月、自民党総裁に就任してから19年7月の参院選まで6連勝。この間の勝因はガバナンスと政策の2つの面から説明できる。 ガバナンスは、政策調整や危機管理である。国会議員は、特定分野の利益を代表する「族議員」にもなり、同じ党に所属しても考え方が異なる。また、1府13省庁の官庁もそれぞれの既得権を守ろうとする。政治家と官庁の背後には、利益団体も存在する。政策立案にあたり、利害関係者の調整は簡単ではない。議院内閣制の本質は、与党と内閣が一体になっていることであり、与党と内閣を一体的に統治することが政権運