「くっくっくっくっ。あは。あっはっはっはっは……」 驚いた表情のロエ2は身体をおるようにしてひとしきり笑ったあと、ミノリの頭部をふわりと撫でた。 「この戦場で、それが答えかい?」 「この戦場で、これが答えです」 丸眼鏡の奥の目が柔らかく細められた。 「すべては変わらないとしても?」 「一部を変えられるってことですから」 問いかけの言葉は励ますように響いた。 「トウヤがうずくまってるこの時に?」 「ちょっと休憩してるだけ。すぐに立ち上がります」 ミノリの頬にも緩やかに暖かさが上ってきた。 「たぶんミノリの言葉は届かないよ」 「でも、いま、一緒にいます」 何か大事な選択がなされた。それはロエ2が選択肢を示し、ミノリが選ぶというものではなかった。ミノリが己の中から彫り上げた答えの、ロエ2は介添えをしてくれたのだ。チョウシを守ると決めたときのように、天秤祭の後衛を務めると決めたときのように、その決
・一応ファンタジーです。 ・剣も魔法も存在しますが、余り活躍はしません。 ・店主は普通のおっさんです。料理以外できません。 ・来る客は毎回変わります。ただしたまに常連になる客もいます。 ・余り早い時間のご来店は、できるだけご遠慮下さい。 チリンチリンと鈴の音が鳴り響いたとき、厨房で仕込みをしていた店主は思わず時計を見た。 時刻は午前の六時半。普段アレッタが来る時間からしては早すぎた。 「店主、いる!?」 その直後、入口の方から声が聞こえてくる。 その声に、店主は聞き覚えがあった。 常連、というほどではないがときおりフラッと来る、若い娘の客だ。名前は確かファルダニア。 肉や魚の類が全く食べられない偏食家(どうも彼女がエルフという種族だかららしい)で、色々工夫して料理を出しているので、印象に残っている。 パッと見は女子高生位だが自分でエルフだとか言ってたので、もしかしたら見た目よりずっと年上な
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