北極海の海氷が急激な勢いで消失している。昨年9月には約30年前に比べて40%も縮小。これは観測史上最小だ。ここ数カ月間で海氷が大規模に崩壊しており、今夏には極点から氷が消える可能性もある。 北極海では毎年、春から夏にかけて海氷が縮小し、9月に最小になった後、再び冬にかけて海氷が拡大するという変化を繰り返している。衛星観測が始まった1978年には、夏の最小期の海氷面積は約700万km2で、冬には北極海が全面結氷していた。しかし、2005年夏には海氷面積がそれまでで最小の530万km2に縮小。昨年夏はその記録を更新して420万km2にまで減少した(図1)。 歴史的に海氷が激減したのは98年で、それまで年率0.6%で縮小してきた海氷面積が一気に25%も減り、それ以降急激な減少傾向は止まっていない。「地球温暖化による気温上昇で氷が解けたというだけでは、この劇的な融解速度は説明できない」と、海洋研究