「芸術祭」が前提となっている「ポスト芸術祭」の時代のアートとは? いま現代アートのシーンでは、若手アーティストによる刺激的な実践が多く見られる。だがそれらは往々にして美術館や芸術祭といった既存のアートシーンより見えづらい。また多くは、美術誌や批評誌は言うに及ばず、カルチャーマガジンや新聞、テレビといったメディアに取り上げられることは稀である。もちろん「若手だから」という事実もあるが、発表の場がオルタナティブスペースやアートコレクティブだったり、告知がSNS上のコミュニケーションをベースにしていたりと、全体像が拡散しているのも理由だ。 この記事では、それぞれが点として偏在している若手アーティストによる刺激的な実践を横断的に眺めていくことで、ひとつの鳥瞰図を描くことを試みる。それはシーンの一端に過ぎないかもしれないが、容易に全貌を見渡せないプレイヤーの分厚さこそがこのジャンルの豊かさでもあるは