高橋留美子(1957-)は、子ども向けの通俗マンガ家と思われているのか、日本ではサブカル評論家に論じられることが少ない(論考をご存じの方はご教示下さい)マンガ家ですが、私は後世の人はこの人の才能を高く評価するだろう、と予想しています。アメリカのManga Shopで一番売れていたのは、この人の作品でした。 イギリス文学の古典「ジェーン・エア」(1847)について、ヒロインである孤児院出身のジェーン・エアは、恋人のロチェスター伯爵が火災で家屋敷(と元妻)を失い失明する一方で、自分の方は「叔父の遺産」を相続した時に、始めて伯爵のプロポーズを受け入れるが、そこに女性作者シャルロット・ブロンテ(1816-1855)の男女間の権力関係についての近代的な醒めた認識がある、と聞いたことがあります。伯爵とただの孤児のままでは、結婚しても、男女関係が「支配―従属関係」になってしまう危険性があるのです。近代社