ブラウン:まず、本題に入る前に、今日、こうして皆さんとこの場を共有できることを嬉しく思います。前回の来日から2、3年が経ちますが、また東京に帰ってくることができて嬉しいです。東京は、私にとって世界でも最もインスピレーションに溢れた都市の1つですから。 稲蔭:では、さっそく本題です。デザイン思考は、日本でも非常に注目されており、多くの企業や個人がデザイン思考のアプローチを実際に活用しています。ティム・ブラウンさんがCEOを務めるアメリカのデザイン・コンサルティング会社「IDEO」は、このデザイン思考の方法論を確立したことで知られています。 デザイン思考を活用して商品やサービスを作る時は、アイディアを付箋に書いて壁に貼り付けたり、ブレインストーミングを行ったりすることがよくあります。でも、デザイン思考とはそういったことだけではありませんよね。IDEOではデザイン思考をどのように考えていますか?
佐藤 浩実 日経ビジネス記者 日本経済新聞社で電機、機械、自動車を6年間取材。13年4月に日経ビジネスへ。引き続き製造業を担当。 この著者の記事を見る
アトキンソン:まず、伝統技術とか職人文化とか言いますが、自分としてはそういうことには割と否定的です。この会社で今までやってきた改革は、ただ単に、一般のビジネスとして考えて、ビジネスの常識を入れたというだけの話だと思います。 伝統技術は、そもそもどこからが伝統技術なのかというと難しいんです。例えば当社は漆塗りをやっていますけれども、西洋のペンキが入ってくるまでは漆がジャパニーズ・ペイントでした。それは当時としてももちろん素晴らしい技術ですが、あえて伝統技術とか伝統文化というものではなかった。 ただ当時は普通に漆が使われていたということですね。 アトキンソン:普通に使われていたものが、西洋から入ってきたものに代わっていっただけでしょう。古いからといって漆を美化する必要があるんでしょうか。漆塗りの人間国宝はいるけどペンキ塗りの人間国宝はいませんね。じゃあ何が違うのかというと、単に古いか新しいかだ
森 一夫 ジャーナリスト 1950年東京都生まれ。72年早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞社入社、産業部、日経BP社日経ビジネス副編集長、編集委員兼論説委員、コロンビア大学東アジア研究所、特別編集委員兼論説委員を歴任。 この著者の記事を見る
和田 智(わだ・さとし) カー&プロダクトデザイナー、SWdesign代表取締役 1961年東京生まれ。武蔵野美術大学卒。84年日産自動車入社。シニアデザイナーとして、初代セフィーロ(88年)、初代プレセア (89年)、セフィーロワゴン(96年)などの量販車のデザインを担当。89~91年、英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート留学。日産勤務時代最後の作品として電気自動車ハイパーミニをデザイン。98年、アウディAG/アウディ・デザインへ移籍。シニアデザイナー兼クリエーティブマネジャーとして、A6、Q7、A5、A1、A7などの主力車種を担当。アウディのシンボルとも言えるシングルフレームグリルをデザインし、その後「世界でもっとも美しいクーペ」と評されるA5を担当、アウディブランド世界躍進に大きな貢献を果たす。2009年アウディから独立し、自身のデザインスタジオ「SWdesign 」を設立。独立後は
独創的な商品・サービスづくりに求められるのがイノベーション。イノベーションで新しい価値を創出し、その価値で顧客を惹きつけるだ。しかし、顧客にとって何が価値となるかはなかなか分からない。マーケティングで導き出す顧客ニーズで、新しい価値を探すことはもはや困難になっている。そこで注目されるのが「Wants」なのである。 田子:僕はもはや「Needs」は崩壊していると思っているんです。これまで、「マーケットニーズを捉えることが重要だ」とみんなが考えて、そのための手法、いわゆるマーケティング手法がいろいろ開発されてきました。マーケット調査がその典型例です。しかし、そうした方法論はもう通用しないのでは。Needsの細分化、差異化があまりにも進んで、お客さんの求めていることが分からなくなっています。加えて、マーケット調査をすると、どこも似たような結果になり対応も似てくる。斬新なモノが生まれにくくなります
“アルコール・ブレスト会議(AB会議)”とは、軽くアルコールを入れた状態で進めるディスカッションのこと。「ビジネス」や「オンタイム」などの言葉と真反対の位置にありそうなアルコールだが、創造的コミュニケーションを促進する上で、ビジネスツールとしての可能性を秘めているのではないだろうか? そんな考えのもと、多様なアイデア発想ツールの開発を手がける石井力重氏をファシリテーターに迎えて実践を試みた。 アイデア創出の近道はあるのだろうか? アイデア発想のために必要なことは何なのか? 第1回は、石井力重氏にその秘訣を語ってもらった。 Q アイデア創出事業を始めたきっかけを教えてください。 A 日本の価値は、知的なストックだと思うんです。この知的なストックをもっと産業的価値に変えていく力をつけたいと思い、商社を辞めて大学院博士課程に行き、研究開発マネジメント論やベンチャーマネジメント論、新規創造開発マネ
国立情報学研究所(東京)とロシア科学アカデミーは6月30日、「巨視的物体の新たなテレポート方法の開発に成功した」とする研究成果を発表した。 SFに登場するテレポーテーションと言えば、ある場所に存在する人やモノを、瞬時に遠く離れた場所に移す「瞬間移動」のことだ。リリースを一目見て誰もが気になるのは、「どこでもドア」のような瞬間移動が果たして実現するのかどうか、だろう。英物理学誌に近く論文を掲載するロシア科学アカデミー・化学物理学関連問題研究所のアレクセイ・ピルコブ氏と国立情報学研究所のティム・バーンズ氏に、内容を解説してもらった。 「不気味な遠隔操作」 今回の発表は、正しくは「量子テレポーテーション」の研究成果に関するものだ。人間のテレポーテーションが可能かどうかについて研究チームの見解を聞く前に、まずは量子テレポーテーションについて説明しよう。 我々の身の回りにある物質は、原子や電子といっ
ドイツでは、「第4の産業革命」が進んでいる。工業のデジタル化によって21世紀の製造業の様相を根本的に変え、製造コストを大幅に削減する。「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」と呼ばれるこの巨大プロジェクトにドイツが成功すれば、高コスト国としての悩みは一挙に解消できる。ドイツ連邦政府、州政府、産業界、学界は今、総力を挙げてこのメガ・プロジェクトに取り組んでいる。 日本では知られていない巨大プロジェクト ドイツと同じ物づくり大国・貿易立国である日本で、インダストリー4.0はほとんど知られていない。新聞やテレビも、この革命の実態を詳しく伝えていない。だがこの産業革命は、日本にとっても大きなインパクトを持つ。もしも我が国の産業界がこの波に乗り遅れた場合、ドイツに大きく水を開けられる危険がある。 「工業のデジタル化」というと、読者の皆さんの中には、「日本でも工業用ロボットなどによる生産
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