この町の歴史は古く、3000年前にはもうすでに人が住んでいたらしい。その旧市街の路地を歩いていた。屋根で覆われた路地は薄暗く、所々に開いている穴から日差しが差し込んでいるだけだった。人通りも少ない。ほとんど地元の人と行き会えないのだった。 そんな路地を歩いていると、どこからともなくエンジン音が聞こえてきた。エンジン音は徐々に近づいてくる。しばらくすると、一台のオートバイが物凄いスピードで僕の前を通り過ぎていった。バイクがどこかへ走り去ってしまうと、僕は再び静寂に包まれた。
この町の歴史は古く、3000年前にはもうすでに人が住んでいたらしい。その旧市街の路地を歩いていた。屋根で覆われた路地は薄暗く、所々に開いている穴から日差しが差し込んでいるだけだった。人通りも少ない。ほとんど地元の人と行き会えないのだった。 そんな路地を歩いていると、どこからともなくエンジン音が聞こえてきた。エンジン音は徐々に近づいてくる。しばらくすると、一台のオートバイが物凄いスピードで僕の前を通り過ぎていった。バイクがどこかへ走り去ってしまうと、僕は再び静寂に包まれた。
ベンチェーをブラブラと歩いていたら、高校生のカップルと出会った。ふたりとも学校の制服を着ていた。男子用の制服は日本人の僕から見ると、いたって普通だ。白いワイシャツに何の変哲もないスボンを穿いていて日本の高校生と変わりない。それとは対照的に女子用はエキゾチックだ。アオザイが制服なのだ。ベトナムで女子高生の制服といえばセーラー服ではなく、外国人にはエキゾチックに見えるアオザイと相場が決まっているのだ。 アオザイというと、女性がまとうものというイメージがあるけれど、もともとは王政時代の官吏が着ていた制服なのだそうだ。つまり着ていたのは男性ということ。現在の女性用アオザイの細身でスリットの深いデザインはフランス領時代に改良されたものらしい。チャイナドレスといい、アオザイといい、西洋人が絡むとちょっとエッチな雰囲気になってしまうのは気のせいだろうか。 もともとは官服だっただけに男性用のアオザイもある
口髭を蓄えた馬面の男が道路脇の小屋の中にひとりでいるのが見えた。男は肉屋だった。丸太で作った大きな俎板をどしんと前に据え、手には包丁が握られている。ちょうど肉片を細かく刻んでいるところだった。俎板の上には切り刻まれた肉片が転がっている。僕が目の前に立つと、男は包丁を持っている手を止めて気難しそうな顔で一瞥した。 何枚か写真を撮り終えると、男は何事もなかったかのように仕事を再開した。男は忙しいようで、暇な異邦人の相手をするような暇は無いようだった。冷房設備なんてものはないから、どんどんとさばいていかないと肉が傷んでしまうのかもしれない。
敦煌郊外にある鳴沙山には美しい砂漠が広がっている。草木が育たない荒野は世界のあちらこちらにあるけれど、ここのようにイメージ通りの砂漠は少ない。サラサラの砂が一面に広がる風光明媚な鳴沙山は観光名所になっていて大勢の観光客が訪れている。そして、その観光客目当てに商売している人も大勢いるのだった。 何頭もの駱駝が用意されていて、またがりながら砂丘を行くサービスも観光客相手の商売のひとつだ。砂の海を往くキャラバンの気分を味わえる。わずかな時間でもシルクロードを旅する気分に浸れるのだ。 待機している駱駝を見ていると、そのうちの1頭があくびをしていた。来る日も来る日も観光客を載せて砂丘を歩くのに辟易しているのかもしれない。
お店が多く軒を連ねている通りにやって来た。ここは淡水の目抜き通りのようだ。とても賑わっていて、多くの人が通りを闊歩している。八百屋や肉屋が多いから、食材を買い求めにやってきた人が多いようだ。 道を忙しく行き来しているのは歩行者だけではなく、多くのバイクも走っていた。バイクで買い出しに来る人も多いようだ。幅があるとはいえ、道は歩行者とバイクが入り乱れて混雑していた。見たところ、バイクに乗っている人の方が優勢のようで、道の真ん中を我が物顔で走っていた。
中正紀念堂ではちょうど衛兵交代が行われていた。新たな衛兵がやって来て交代を終えると、さっきまでじっと中正紀念堂の中で静止していた衛兵たちが外へ向かって歩き出す。片手に銃を担いながら、腕を同じリズムで上下させながら行進していた。 任務を終えつつあるとはいえ、衛兵の表情は固く無表情のままだ。僕のすぐ脇を通り過ぎる時も一眼レフカメラを構えている僕には目をくれることはなかった。事務所に戻るまでが仕事なのだろう。このような姿を見ていると校長先生の話を思い出した。「家に帰るまでが遠足です。」
台北にある中正紀念堂の周囲をウロウロとしているうちに衛兵交代の時間になった。ここには蒋介石の像しかないのに衛兵がいるのだ。そして、一時間ごとに行われる衛兵交代は台湾観光の目玉のひとつになっている。しばらくすると、どこからともなく三人の衛兵が現れて、中正紀念堂の入り口へ繋がる階段を登ってきていた。三人のヘルメットはピカピカに磨かれていて、向こうに正門牌楼が見えた。 お揃いの金属製のヘルメットを被った衛兵たちは、一糸乱れぬ歩調でどんどん進んでくる。迷いの類は一切感じられない。まるで自意識や感情の一切ないロボットのようだ。僕の前に差し掛かっても、もちろん僕になんて一瞥をくれることはない。瞬く間に僕の目を横切って、仲間の衛兵が待っている紀念堂の中へと入っていったのだった。
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