短く切ったブロンドヘア、赤いスチールフレームの眼鏡、緑色のTシャツ。ジーンズのひざには、真っ黒なA4のThinkpad。やせた白人男性が、静かにキーを叩いている。 渋谷のホテルの一室。一心にプログラミングするこの青年は、「DVDヨン」と呼ばれている。本名はヨン・ヨハンセン、25歳。ノルウェー出身の世界的に有名なハッカーで、DRM破りの代名詞ととらえられることもある。 15歳の時、DVD-Videoのアクセスコントロール技術をクラックし、ノルウェー検察当局に著作権法違反で起訴された。その後もiTunesのDRM「FairPlay」を破ったり、iPhoneを回線契約なしで使えるようにしたり――Apple製品のDRM破りでも名をはせた。 ソファに座って静かにプログラミングする彼は、攻撃的なハッカーには見えない。話しかけると人なつっこい笑顔を見せ、早口で丁寧に答えてくれる。話がとぎれるとノートPC