沖縄県知事選をめぐる報道で古謝玄太という名を目にして、ふと瞑目し、すこし考え込んでしまった。父方が宮古島にルーツを持つと紹介されていたからである。宮古の姓は、下地、砂川、平良、友利、川満、与那覇、狩俣、根間、来間といったように、圧倒的に島内の地名や屋号に由来するが、そのなかには古謝という名は見当たらない。むしろ、古謝は本島の地名、美里間切古謝村、現在の沖縄市古謝を指す名である。古謝玄太氏のファミリーストーリーを知りたいとも思ったが、とりわけ詮索したいものでもない。ただ、「古謝」姓から、琉球の家をめぐる制度に少し触れてみたいと思った。 沖縄というか琉球の「姓」を考えるときの、いわば出発点として押さえておくべきなことは、琉球士族社会において家を識別する単位が二重になっていたということである。一方に唐名の氏があり、他方に家名がある。血統を担い、家譜(いわば家系図)が編まれる単位はあくまで氏の側で

