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ブックマーク / blog.livedoor.jp/nobukazukawai (28)

  • 鎖骨の成長を出生前に一時的に減速させ、難産を緩和 : 河合信和の人類学のブログ

    4月12 鎖骨の成長を出生前に一時的に減速させ、難産を緩和 カテゴリ:進化人類学解剖学 進化したヒトは、大きな脳を持ち、また直立化したことで広い肩幅を持つようになった。 大きな脳は、石器製作などの文化を洗練化させ、大きな肩幅は投げ槍を遠くまで投擲できるなどサバンナでの狩猟が容易になった。いずれも、ヒトの生存にとって有利である。 しかし産道を通過する際に、難産の原因となり、進化的には不利であった。胎児の産道をスムーズに通すために、人類は胎児段階ではできるだけ脳を未発達にして、出産後に脳成長の加速を実現させ、脳の大型化を達成させた。また頭蓋も、幼児に見られるように軟骨状態で、産道に負担をかけないようにしている。 しかし肩は、どうしているか。肩幅を決めるのは鎖骨の成長速度だが、京都大の森直記准教授(自然人類学)らのチームは、出産が近くなると胎児の肩の成長速度が一時的に減少し、出産後には加速に転

  • ケニア沿岸部の洞窟で7.8万年前のホモ・サピエンス幼児のアフリカ最古の埋葬を発見 : 河合信和の人類学のブログ

    5月7 ケニア沿岸部の洞窟で7.8万年前のホモ・サピエンス幼児のアフリカ最古の埋葬を発見 カテゴリ:考古学古人類学 熱帯アフリカ、ケニア沿岸部のパンガ・ヤ・サイディ洞窟(写真は発掘中の様子)で、約7万8000年前の意図的に埋葬された幼児の子どもの墓が見つかった。イギリス、ケンブリッジ大のM.マルティノン=トレスら、国際研究チームがイギリスの科学週刊誌『ネイチャー』5月6日号に発表した。 「ムトト」(スワヒリ語で「子ども」の意味)と名付けられた遺体は、2歳半~3歳くらいで、洞窟に掘られた坑に屈位で見つかった。頭骨と上半身の骨格の大半、大腿骨の一部が見つかり、遺体は腐敗する前に新鮮な状態で置かれたことが分かったため、墓への意図的な埋葬、と判断された。また幼児は、解剖学的にホモ・サピエンスと判定された。 これは年代測定でも確認された。光励起ルミネッセンス法による年代測定で、7.83万年前±0.4

    theatrical
    theatrical 2021/05/21
    エレクトゥスとか埋葬してたりしないのかな。
  • 南ア出土の最古のホモ・エレクトス化石の報告がナショ・ジオの10大科学ニュースに : 河合信和の人類学のブログ

    12月11 南ア出土の最古のホモ・エレクトス化石の報告がナショ・ジオの10大科学ニュースに カテゴリ:古人類学年代測定 『ナショナル・ジオグラフィック』が2020年の10大科学ニュースの1つに、南アフリカでのホモ・エレクトス頭蓋冠発見を挙げた。この報は、南アやアメリカ、オーストラリアなどの国際チームが4月3日付けのアメリカの科学誌『サイエンス』で報告したもので、いささか遅れたが、ここで改めて取り上げよう。このニュースはそれだけの価値があるからだ。 ◎2、3歳くらいの幼小児個体でも大きな膨らんだ脳 化石は、ヨハネスブルク北約40キロのドリモーレン主採石場(写真)の岩石の中から見つかった(DNH-134=写真)。最初はヒヒの化石と思われ、分担したオーストラリアの学生が破片をクリーニングしたところ、ホモ・エレクトス年少個体であることが分かったという。 頭蓋骨の癒合の程度から見て、DNH-134個

    theatrical
    theatrical 2021/01/03
    つい10万年位前に絶滅するまで、200万年近く生き残ったんだから、まだ誕生から30万年程度しかたっていないホモサピエンスよりも、今の所成功した種と言っても間違いではないよな。
  • メキシコ中北部高原の洞窟で3万年前に遡る石器群発見、またLGMの直前にも北米へのごく小規模な人類の植民も : 河合信和の人類学のブログ

    8月19 メキシコ中北部高原の洞窟で3万年前に遡る石器群発見、またLGMの直前にも北米へのごく小規模な人類の植民も ベーリンジア陸橋を経て南北アメリカ大陸へ人類が拡散したのがいつだったのかは、北米考古学界では議論が尽きないトピックだが、このほどメキシコ中北部高原のチキウイテ洞窟(写真)で、3万年前を遡る人類の痕跡を発見したという報告が、メキシコの考古学者らにより英科学誌『ネイチャー』7月22日号で報告された。 ◎石器包含層最下層は3.3~3.1万年前 チキウイテ洞窟の人類居住層とされるのは、厚み3メートルの堆積層で、最終氷河期最盛期(LGM:2.65万~1.9万年前)を含み、最下層は3.3~3.1万年前に達する。調査団は、堆積層内から50以上の放射性炭素年代とルミネッセンス年代を得た。堆積層から、約1900点の石器と思われる石片が見つかった。 石器とされるものには、緑がかった石灰岩の結晶か

  • 『サイエンス』10大ニュースにデニーソヴァ人の顔の推定復元がランクイン : 河合信和の人類学のブログ

    12月22 『サイエンス』10大ニュースにデニーソヴァ人の顔の推定復元がランクイン カテゴリ:人類遺伝学古人類学 アメリカの科学誌『サイエンス』は、2019年の科学10大ニュースで、今年9月に絶滅したヒト族「デニーソヴァ人」の顔の初めての復元を発表したイスラエル・ヘブライ大などの国際チームの成果を1つに選んだ。 成果は、9月19日付のアメリカの科学誌『セル』発表されたもので、2010年にデニーソヴァ洞窟で発見された1の小指の骨と1の大きな歯から抽出されたDNAのエピゲノムを解析から骨格に関する32の特徴を導きだし、デニーソヴァ人の推定骨格を提案した。 それによると、頭頂骨の幅が現生人類やネアンデルタール人よりも広く、2007年に発見された河南省許昌市近郊の霊井旧石器遺跡の古人類頭骨の化石の8つの特徴のうち7つが研究チームの予想と一致していたという。 許昌人頭蓋は温暖な土地で発見されたた

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    theatrical 2020/04/27
    マンモスくらいだと、無邪気に復元するとか言う話もあがるけど、化石人類なんかだと人類と同等あるいはそれ以上の知能がある可能性があるから、そう言う無邪気さは許されないだろうな。
  • エチオピア、ウォランソ=ミルで380万年前の完全なアナメンシス猿人の頭蓋発見 : 河合信和の人類学のブログ

    8月30 エチオピア、ウォランソ=ミルで380万年前の完全なアナメンシス猿人の頭蓋発見 カテゴリ:進化人類学古人類学 エチオピアで380万年前の新しいアウストラロピテクス化石が発見された。28日のイギリスの科学誌『ネイチャー』電子版で、アメリカドイツの国際研究チームが速報した。 ◎300万年以上前のアウストラロピテクスで最も完全な頭蓋 新しい化石は、2016年2月に首都アディスアベバ北東約550キロのアファール地方、ウォランソ=ミルで見つかったほぼ完全に近い頭蓋で、発見者の1人のクリーブランド自然史博物館のヨハネス・ハイレ=セラシエによれば(写真=発見地点の頭蓋と手にするハイレ=セラシエ)、「300万年以上前のアウストラロピテクスの中で、最も完全な頭蓋」である(ただし南アフリカのステルクフォンテイン洞窟出土の頭蓋を含む完全な全身骨格の「リトル・フット」は300万年以上前のものの可能性が高

  • 現生人類ホモ・サピエンスは13万年前頃に起源地の現ボツワナ北部から世界に拡散 : 河合信和の人類学のブログ

    10月30 現生人類ホモ・サピエンスは13万年前頃に起源地の現ボツワナ北部から世界に拡散 カテゴリ:人類遺伝学進化人類学 現生人類ホモ・サピエンスは20万年前、ボツワナ北部で誕生したという。28日、国際研究チームによりイギリスの科学誌『ネイチャー』に発表された。人類誕生の地を特定した研究結果としては、これまでで最も詳細な位置を示した。 ◎コイサン族のミトコンドリアDNAハロタイプ「L0」 解剖学的現代人であるホモ・サピエンスがアフリカで誕生したことは今や常識だが、その正確な場所は特定されていなかった。考古学的証拠から南部アフリカが有力視されていたが、研究チームは、さらに絞り込み、ボツワナ北部と特定した。 南アフリカ、ナミビア、ボツワナの乾燥地帯にわずかに残る現代の狩猟採集民のコイサン族(写真)は、現代人の最も古い系統の生き残りと見られており、実際、ミトコンドリアDNAハプログループの1つ「

  • ヨーロッパ最古の現生人類? ギリシャで同定、21万年前 : 河合信和の人類学のブログ

    7月12 ヨーロッパ最古の現生人類? ギリシャで同定、21万年前 カテゴリ:進化人類学古人類学 1970年代後半にギリシャ南部のアピディマ洞窟に発見されていた2つの人類頭骨のうち、年代の古い方の後頭骨のみの「アピディマ1号」は、丸い形態から21万年前頃のホモ・サピエンスのもの、と同定された。もう1つの頭骨「アピディマ2号」は、ネアンデルタール人のもの、という。ドイツ・テュービンゲン大学などの国際研究チームが、10日付のイギリス科学誌『ネイチャー』電子版に発表した。 ◎従来観よりいきなり16.5万年も古く 頭骨は、いずれも保存が悪かったが、研究チームは形態のデータをコンピューターで解析し、上記の結論を出した。また年代測定は、ウラン系列年代測定法で行われた。 これが事実だとすると、ホモ・サピエンスは従来観より16.5万年も早く、ヨーロッパに到達していたことになるが、いくつか疑問がある。 現在の

  • ユカタン半島の水中洞窟から5年前に盗まれた完全に近い青年の頭蓋は、北米最古の人類遺体の可能性 : 河合信和の人類学のブログ

    9月18 ユカタン半島の水中洞窟から5年前に盗まれた完全に近い青年の頭蓋は、北米最古の人類遺体の可能性 カテゴリ:考古学古人類学 2012年2月にダイバーによって偶然発見された、メキシコ、ユカタン半島のトゥルムに近いチャン・ホル石灰岩洞窟の人骨は、ひょっとすると北米最古の――おそらく1万3000年前――の人類遺体である可能性のあることが、このほどドイツ、ハイデルベルク大のヴォルフガング・スティネスベック博士らの研究チームから明らかにされた。8月30日号のオンライン科学誌『PLoS ONE』で発表された。 ◎チャン・ホル洞窟発見をソーシャルメディアに投稿して ところがその人骨は、最も重要な頭蓋が発見直後に何者かに盗まれ、研究価値が大きく損なわれているという残念の状況にある。 全体が石灰岩で出来ているユカタン半島には、川がない代わりに石灰岩洞窟が良く発達し、しかも水中洞窟が網の目のように連絡し

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  • ケニア北部で1300万年前の新種化石類人猿の頭蓋発見、ニャンザピテクス・アレシと命名 : 河合信和の人類学のブログ

    8月20 ケニア北部で1300万年前の新種化石類人猿の頭蓋発見、ニャンザピテクス・アレシと命名 カテゴリ:進化人類学霊長類学 中新世(2300万~530万年前)に地球に現れた類人猿化石は多数知られているが、完全な頭蓋はほとんど見つかっていない。特に人類の起源地のアフリカは顕著で、1400万~1000万年前の頭蓋標は1つも知られておらず、どのホミニドからホミニンの系統が進化したか化石の点で全く未解明だ。 ケニア・トゥルカナ湖盆研究所、アメリカ・ストーニーブルック大などの国際研究チームは、英科学誌『ネイチャー』8月10日号で、ケニア北部の約1300万年前の地層から新たに発見された化石類人猿の完全な頭蓋の研究成果を発表した。 下顎を欠く他は完全な新発見の頭蓋(写真)は、レモン大の小ささで、上顎に乳歯の根元が残り、未萌出の永久歯が埋まっていたことから、生後1歳4カ月程度の幼体と見られる。 頭蓋化

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  • 13万年前、アメリカ大陸に人類がいたという驚愕の報告、しかし疑問は多く : 河合信和の人類学のブログ

    4月30 13万年前、アメリカ大陸に人類がいたという驚愕の報告、しかし疑問は多く カテゴリ:考古学進化人類学 13万年前頃、種不明のヒトがアメリカ大陸にいたことを確認した、とアメリカのサンディエゴ博物館などのチームが、「アメリカ、カリフォルニア南部の13万年前の考古遺跡」と題してイギリスの科学週刊誌『ネイチャー』4月27日号に報告した。 ◎マストドンの骨をハンマー石と台石で処理 チームの報告したのは、マストドンの牙や歯、脚の骨などの化石の、後期更新世初期の考古遺跡セルッティ・マストドン(CM)遺跡の原位置で残された1頭分のマストドンの骨の破片と共伴するハンマー石と台石。 サンディエゴの南東約10キロの露頭で1990年代に認識されていたCM遺跡からは、スパイラル剥離されたマストドン骨と臼歯片が発見されたが、これは骨などが新鮮なうちに破砕されたことを示しているという。また破片のいくつかには、打

    13万年前、アメリカ大陸に人類がいたという驚愕の報告、しかし疑問は多く : 河合信和の人類学のブログ
    theatrical
    theatrical 2017/04/30
    この件事実くらいに思ってたけど、そうでもないのかな
  • アステカ帝国と古代メキシコ社会を崩壊させたサルモネラ菌による悪疫 : 河合信和の人類学のブログ

    4月23 アステカ帝国と古代メキシコ社会を崩壊させたサルモネラ菌による悪疫 カテゴリ:人類遺伝学古人類学 人類史の中で最悪の疫病の1つは、16世紀のスペイン人によるアステカ帝国の征服後に発生した悪疫であろう。14世紀にヨーロッパの都市と農村をゴーストタウンにしたとされるペストは、当時のヨーロッパの人口の半数前後に当た2000万~3000万人を死に至らせたとされるが、スペイン征服後のメキシコ高原を襲った悪疫もそれに勝るとも劣らない災厄をもたらした。 『ネイチャー』2月23日号の記事で、スペイン人征服者が訪れた直後の先住民の遺体の遺伝子を分析した結果によると、それはパラチフスC菌というサルモネラ属細菌の感染症のパンデミックであったらしいことが分かった。 ◎2500万人のメキシコ高原先住民人口は1世紀でたった100万人に減少 ただその疾病は、天然痘とも麻疹とも想定されたが、これまではっきりとはし

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  • 石器製作はホミニンだけとは限らない、ブラジルのヒゲオマキザルで700年の「石器」製作の伝統 : 河合信和の人類学のブログ

    11月30 石器製作はホミニンだけとは限らない、ブラジルのヒゲオマキザルで700年の「石器」製作の伝統 カテゴリ:考古学進化人類学 ◎ケネス・オークリーの道具製作者としてのヒト論 今から70年近く前、イギリスの考古学者・人類学者ケネス・オークリーは、「ヒトこそが道具を作る」として名著『Man the Tool-Maker(道具製作者としてのヒト)』を書いた。 その後、東アフリカを中心に調査が進み、ホミニン(ホモ・ハビリス)が原始的なオルドワン石器を製作していたことが明らかになった。そしてオルドワン石器製作こそ、最古のホモ属の存在証明の1つとされた。さらに調査が進み、最古のオルドワン石器の製作は、260万年前までさかのぼった。 ◎ロメクウィアンの発見で石器製作はアウストラロピテクスの時代に だが、くくりの良い幸せな時代は、2010年代に入って、根的に見直しを迫られる。まずエチオピアのディキ

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  • イアン・タッターソルの『ヒトの起源を探して: 言語能力と認知能力が現代人類を誕生させた』を監訳刊行 : 河合信和の人類学のブログ

    8月20 イアン・タッターソルの『ヒトの起源を探して: 言語能力と認知能力が現代人類を誕生させた』を監訳刊行 河合信和の監訳で、古人類学の大御所イアン・タッターソルの新著『ヒトの起源を探して: 言語能力と認知能力が現代人類を誕生させた』(原題:Masters of the Planet: The Search for Our Human Origins)を、原書房より刊行しました(2016/8/25発行)。定価は税抜き3000円。 名著の誉れ高い『The Fossil Trail: How We Know What We Think We Know About Human Evolution』(邦訳:『化石から知るヒトの進化』=拙訳、絶版)の刊行から20年ほどたち、その後の化石の発見と激増する人類種を、タッターソルが学識ある視点でまとめた。 最新人類進化史を一望できる好著である。 以下に目

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    theatrical
    theatrical 2016/10/09
    原著は2013年らしいし、そこそこ新しい情報なのかな。買おうかな
  • 現生人類とネアンデルタール人の混血の遺産 : 河合信和の人類学のブログ

    3月6 現生人類とネアンデルタール人の混血の遺産 カテゴリ:人類遺伝学進化人類学 6万~5万年前に中東で我々現生人類は、先住のネアンデルタール人と若干の混血があったことが分かっており、その痕跡は我々のゲノムに1.5~4%のネアンデルタール人由来の遺伝子断片として残っている。 ◎2.8万人のヨーロッパ系成人からデータ ネアンデルタールから導入された遺伝子が、現生人類の寒冷なヨーロッパへの進出にある程度、強い選択圧をもらたしたことは、現生人類のX染色体や第9染色体の一部領域などでネアンデルタール由来の遺伝子が極端に減っていることから推定されている。しかし一方で、現生人類個体群に進化上の有利さをもたらしていたらしい。 アメリカ、ヴァンデルビルト大のC.N.シモンティらの研究チームは、全米の9つのサイトから得た電子健康記録の2万8416人のヨーロッパ系成人の記録から、ネアンデルタール人由来と思われ

  • 本の紹介――拙訳『ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた』(原書房刊) : 河合信和の人類学のブログ

    11月27 の紹介――拙訳『ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた』(原書房刊) カテゴリ:出版進化人類学 この度、原書房より監訳者として、パット・シップマン原著の翻訳書『ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた』を刊行しました。 以下に、概要を載せます。 ◎『ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた』(2400円+税) きわめて刺激的なである。一般の人にも強い関心があり、永遠のテーマでもある「ネアンデルタール人はなぜ絶滅したのか?」の謎に、最新かつ総合的なアプローチで、原著者パット・シップマンはこれまで想定されたことのなかった推論を導き出した。 アフリカから中東をへてヨーロッパに進出した現生人類は、気候変動や遺伝的多様性の欠失で衰退しつつあったネアンデルタール人を、意図せざる結果として滅ぼした。それには、この頃にいち早く家畜化されるようになったイヌ(原著者の言う「オオカミイヌ

    本の紹介――拙訳『ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた』(原書房刊) : 河合信和の人類学のブログ
    theatrical
    theatrical 2015/11/28
    面白そうだな
  • ホモ・フロレシエンシスは、やはりジャワ原人の末裔 : 河合信和の人類学のブログ

    11月23 ホモ・フロレシエンシスは、やはりジャワ原人の末裔 カテゴリ:進化人類学古人類学 インドネシア、フローレス島のリアン・プア洞窟で2003年に発見されたホモ・フロレシエンシスは、その推定年代が7万~2万年前という年代的新しさにもかかわらず、低身長・小さな脳など多くの原始的特徴を持っていることで、古人類学の常識外れの人類であった。 ◎一時は未発見のホモ・エレクトス以前のホミニン起源が有力だったが 小さな島でどうやって個体群を維持できたのか、どうして独自の進化を遂げたのか、多くの謎が尽きないが、彼らの出自も大きな謎だった。一時はホモ・エレクトスよりも小さな脳・身体、脚が短く相対的に腕の長い形態などを根拠に、ホモ・フロレシエンシスはホモ・エレクトス以前の未発見のホミニンを祖先とするとするという説が有力だった。 その後、2011年以降の国立科学博物館の海部陽介氏らのチームが頭蓋形態の研究な

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    theatrical 2015/11/23
    フローレシエンスの知能ってどれくらいだろう?フローレシエンスやネアンデルターレンシスを遺伝子さえあれば、クローンも作れたるだろうけど、彼らほどの知的な存在であれば倫理的な問題はより顕著だね
  • 南アの「人類の揺りかご」で古い形態と進歩的形態の混じる大量の人類化石発見;「ホモ・ナレディ」と命名 : 河合信和の人類学のブログ

    10月5 南アの「人類の揺りかご」で古い形態と進歩的形態の混じる大量の人類化石発見;「ホモ・ナレディ」と命名 カテゴリ:進化人類学古人類学 南アフリカ、ヨハネスブルクの北西約50キロの、世界遺産「人類の揺りかご」に登録されている苦灰岩帯に、雨水で浸された無数の洞窟が口を開いている。そのうちの1つ「ライジング・スター洞窟」で、このほど夥しい人類遺体化石が発見されたが、それらは人類進化について我々はなお全体像を知ることから遠いことを示した(写真はステルクフォンテイン洞窟の上から遠望した苦灰岩地帯)。 ◎ライジング・スター洞窟の名から採った「星のヒト」 新発見のホミニンは、発見・報告者のヴィットヴァーテルスラント大の古人類学者リー・バーガーらが、9月10日付けオンライン科学誌「eLife」に「ホモ・ナレディ(Homo naledi)」と命名して発表されたものだ。なおリー・バーガーは、2008年

    南アの「人類の揺りかご」で古い形態と進歩的形態の混じる大量の人類化石発見;「ホモ・ナレディ」と命名 : 河合信和の人類学のブログ
    theatrical
    theatrical 2015/10/05
    この話、河合さんの解説が来るのを楽しみにしてました。
  • ヨーロッパ最古の現生人類ペシュテラ・ク・ワセ下顎骨ゲノムから、4~6世代前にネアンデルタール人の祖先がいたことが判明 : 河合信和の人類学のブログ

    8月16 ヨーロッパ最古の現生人類ペシュテラ・ク・ワセ下顎骨ゲノムから、4~6世代前にネアンデルタール人の祖先がいたことが判明 カテゴリ:人類遺伝学進化人類学 ヨーロッパ先住民のネアンデルタール人は、3万9000~4万1000年前に絶滅したことが最近の研究で判明したが、その直前にヨーロッパに進出していた現生人類(ホモ・サピエンス)は、従来、想定されていたのと異なり、ヨーロッパでも先住ネアンデルタール人と混血していたらしい。 ◎彼の直前の祖先に最後のネアンデルタール人 イギリス科学週刊誌『ネイチャー』8月13日号で、ドイツ、マックスプランク進化人類学研究所などの研究グループが発表したところによると、2002~03年に西南ルーマニアの「ペシュテラ・ク・ワセ(「骨のある洞窟」の意)」で発見された初期現生人類の男性下顎骨(ワセ1号=写真=放射性炭素年代で約3万7000~4万2000年前)からDNA

    ヨーロッパ最古の現生人類ペシュテラ・ク・ワセ下顎骨ゲノムから、4~6世代前にネアンデルタール人の祖先がいたことが判明 : 河合信和の人類学のブログ
    theatrical
    theatrical 2015/08/16
    そのうち父親が、ホモ・ネアンデルターレンシスで、母親が、ホモ・サピエンスみたいな人も見つかるといいな。可能性はめちゃくちゃ低いだろうけど
  • 北米最古の完全な古人骨骨格ケネウィックマンの先住アメリカ人との遺伝的連続性明らかに : 河合信和の人類学のブログ

    8月1 北米最古の完全な古人骨骨格ケネウィックマンの先住アメリカ人との遺伝的連続性明らかに カテゴリ:人類遺伝学古人類学 1996年にアメリカ、ワシントン州のコロンビア川河畔で発見された完全な最古の北米古人類骨格のケネウィックマンの行方が危うい状況になってきた。 ◎約9000年前の古人骨ケネウィックマンの系統は イギリス科学週刊誌『ネイチャー』7月23日号にモルテン・ラスムッセンら欧米研究チームが発表した遺伝子解析の論文で、これまでの形態学的研究と異なり、ケネウィックマンは世界のあらゆる人類集団の中で現代のアメリカ先住民に最も近縁であることが分かったのだ。 死亡推定年齢50代の男性全身骨格ケネウィックマンの年代は、放射性炭素年代測定法で8340~9200年前(較正年代)とされ、発見以来、クロヴィス文化を作ったパレオ・インディアンよりは新しいが、現代の先住アメリカ人の子孫の骨格ではないか、と

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    theatrical
    theatrical 2015/08/01
    先住民の先祖だって事がわかったから、先住民の保護法に従って先住民への返還と、その後埋葬されてしまう可能性があるらしい。