人生には時に思いがけないことがおきます。 その朝、僕は仕事仲間とともに、首都高で移動していました。そこに突然、出勤途中の妻から電話がありました。 「我が家が燃えてるらしいの」 「えっ、なに燃えてるって」 「とにかく家が燃えてるの」 最初はなにをいっているのか全くわかりませんでした。でも胸騒ぎを押さえながら自宅に戻ることにしました。すぐに高校3年生の長男と連絡をとりました。家族全員が避難できていることがわかり、一旦はほっとしました。でも息子は興奮した声で最後にこういいました。 「バリバリすごい音をたてて家が燃えてるんだ。窓ガラスもボンボン割れてる」 高速を降り、自宅に向かいました。最悪の状況でも、人は自分の都合のよい方向に考えようとします。その時は、「そうはいってもボヤだろう、少し焼けたぐらいだろう」と思ってました。でも自宅近くの大通りで、消防車が僕らを追い越し、サイレンを鳴らながら赤信号を