小説本文を書き始める際には、必ず地の文を一人称で書くか三人称で書くかという「人称」の問題と、どこに語り部の立ち位置を置くかという「視点」の位置を決めなければなりません。 以下、私なりにご説明させていただきます。 ただし意味や名称、細かい分類については論者によって微妙に異なっており、統一されていないのが実情です。しかし大まかな考え方の部分は一緒なので、誰が正しくて誰が間違っている、などの問題は発生しないようになっています。 ■一人称 登場人物の一人が語り部となり、その人物の視点で書かれた小説。 語り部が視点主なので、視点主の口調をそのまま地の文にすることができる。 例:「僕は○○と言った。やれやれだ。」「私は××をした。超楽しい。」 ■二人称 語り部である「私」が、「あなた」に対して直接語りかけるように書かれた小説。 かなり特殊な形なので、普通の小説には使われていません。 例:「君は俺に言っ
前回の記事 生まれてはじめて書く人のための、小学生向け小説執筆マニュアル(手順書) 読書猿Classic: between / beyond readers について、物語の作り方はわかった気がするけど、それをいざ小説にしようとすると言葉が出てこない、なんとかしろ、という意見がありました。 実は、小説の文章についても少し書いていたのですが、あまりにも小学生向けでなかったので省きました。参考になる人がいるかもしれないので出してみます。 1 小説の文章は何からできているか? 小説は、文章を通して物語を伝えるものです。 小説の文章は、大きく3つに分けられます。 《場面》、《説明》、《描写》です。 (1)説明とは 《説明》は、物語を大づかみに述べる文章です。細かいところを省略して伝えるので《要約》と呼ばれることもあります。 大づかみなので、少しの文章で、長い時間の物語を伝えることができます。 わず
創作論とか小説の書き方みたいな本について言うと、作家やその周辺の人が書いているせいか、かつてはその困難さを前面に掲げて、結果的に創作行為の神秘性を保守する手合が多かった。 近頃は「誰でも書ける」みたいなのも随分増えたけれど、タイトルだけ付け間違えたようなのが多くて、あいかわらず、もったいぶった文士臭さが抜けてない。 探す場所を間違えたのだと考え、はなっから「創作行為の神秘性」なんて受け付けない人たち向けに書かれたものを探した。つまり子供向けである。 学校の課題になったりするせいか、アメリカのものに、手続きだけに注力した実にアッケラカンとしたのが多かった。 ネットでフリーで手に入るものだと、National Novel Writing Month(通称:NaNoWriMo ※)のYoung Writers Program用ワークブックが、ほぼ同じ手続きを小・中・高校生向けの3種類に書き分けて
誰もが「物語」を求めている。 スティーブ・ジョブズの魅力的なプレゼンには、「三幕構成」という作劇法が応用されていたという。iPhoneが一台あれば映画を作れる時代だ。今ほど「物語」が求められている時代はない。にもかかわらず、物語を作る「技術」の重要性に気づいている人はまれだ。物語作りに必要なのはセンスだけ──と、素朴に信じている人は多い。 物語作りにも、技術がある。 なかでもシド・フィールドが体系化したハリウッド式の「三幕構成」は、汎用性と自由度の高さが魅力だ。脚本製作の現場だけでなく、商談につかうプレゼンや、WEBメディアの記事執筆(※ブログを含む!)、飲み会のときの「滑らない話」にいたるまで、およそ物語性を持つほとんどのものに応用できる。ジャンルを選ばず実用可能な、ほぼ唯一の技術といっていいだろう。 今回は「三幕構成」がどのようなものか、ざっくりと紹介したい。 三幕構成を説明する前に、
不確実な時代をクネクネ蛇行しながら道を切りひらく非線形型ブログ。人間の思考の形の変遷を探求することをライフワークに。 前回の記事の冒頭でも書きましたが、20代の頃の僕にとってヒーローは、夏目漱石でした。その後、シェイクスピアもそこに加わり、その2人がヒーローであることに変わりなく、いまに至っています。 僕がその2人をヒーローだと感じている理由は、その2人の文学者がデザイナーだからです。他にも数多くいるデザイナーのなかで、夏目漱石とシェイクスピアが、僕が憧れるデザイナー像なんです。 モノを作ることで人びとの生活を革新するのもデザイナーの役割だと思うんですが、僕はモノによる革新ということにはそんなに関心がないんですね。それよりも僕自身が文章によって人生を革新されている部分が大きいので、それを可能にするデザイン、その思考作業を実際に行う文学者にこそ憧れるんだと思います。そして、そのなかでも夏目漱
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