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ブックマーク / tmaita77.blogspot.com (7)

  • 人はどの県に移るか

    地方創生の推進と相まって,「移住先に選ばれる県はどこか?」という類の記事をちらほら見かけます。ふるさと回帰支援センターの調査によると,2016年の移住希望先1位は山梨県,2位は長野県だそうです。 http://news.livedoor.com/article/detail/12700774/ なるほど,住みよい県のランキングでも上位によく挙がる県ですので,さもありなんです。しかるに,口先の意見ではなく,実際に人がどう動いているかの統計を観察するのもいいでしょう。 どれほど地域が人を呼び込んでいるかを測る人口移動の指標として,転入超過率がよく使われます。ある年の転入者数から転出者数を差し引いた数(転入超過数)を,当該年の初頭の人口で除した値です。 2016年の東京の30代(日人)を例に,この指標を計算してみましょう。同年中の転入者は9万1,512人,転出者は9万1,198人ですので,分子

    人はどの県に移るか
    thousandport
    thousandport 2017/02/22
    読み込むと色々な示唆が有りそう
  • 高校生の家庭環境・学力・学校適応

    わが国の高校は,有名大学進学可能性に依拠して精緻に階層化されているのですが,階層構造上の位置に応じて,生徒の家庭環境,学力,はては問題行動の発生頻度が異なることはよく知られています。 まさに制度的社会化とでも呼べる現象ですが,国際学力調査PISA2009のデータを使って,それを可視化してみましょう。この調査の対象は15歳生徒であり,日では,高校1年生が回答しています。 https://pisa2009.acer.edu.au/ 調査は,読解力,数学的リテラシー,科学的リテラシーといった学力に加えて,対象生徒の家庭環境や学校生活の状況も調べています。まずは,後者の生徒質問紙のデータをもとに,高校1年生生徒の家庭環境をみてみましょう。 ここでの関心は,在籍する高校のランクによる違いです。ランクを明らかにするのは容易ではないですが,高い学力をつけることに対して,保護者からどれほど期待があるか

    高校生の家庭環境・学力・学校適応
  • パソコンを持たない若者

    私は大学で調査統計の授業(3年生対象)を持っていますが,エクセルで簡単な棒グラフを作れない学生さんが結構いることに驚いています。 話を聞くと,「エクセルなんて,1年時のコンピュータ活用の授業以来,全然開いていない。きれいさっぱり忘れた」とのこと。それどころか,パソコンに触れることもあまりないのだそうです。じゃあ,彼らの生命線ともいえるネットはどうしているのかというと,言わずもがなスマホなどの小型機器です。仲間との通信,買い物,情報収集などはこれで十分。 私などはその逆で,ケータイもスマホも持ちませんが,卓上のパソコンは必需品です。ネットはスマホでもできますが,私は目が悪いので,小さい画面はきつい。それに生業であるデータ分析や原稿執筆は,パソコンでないとどうにもなりません。 私は,若者のデジタル事情について興味を持ち,データで実態を明らかにしてみました。国際比較によって,わが国の状況を相対化

    パソコンを持たない若者
  • 東大生の出身地域の偏り

    『東京大学学生生活実態調査』は,最高学府の学生の出自を教えてくれる定番の資料として,研究者の間でよく知られています。 http://www.u-tokyo.ac.jp/stu05/h05_j.html 実家の年収分布に注目されることが多いのですが,出身地域の分布はどうなのでしょう。実家の所在地を尋ねた設問への回答をグラフにしてみました。2012年の学部生調査のデータです。一般群との差を「見える化」すべく,同年春の高卒者の住所地分布も添えています。 何もいいますまい。東京ないしは関東圏への集中度が高くなっています。東京出身者の比重は一般群では9.4%ですが,東大生男子では25.5%,女子では31.4%にもなります。女子の場合,東京居住者からの東大生輩出確率は,通常期待される水準の3倍以上です。 前に,東大・京大合格者出現率を県別に出したところ,著しい都道府県差がありました。そこでの知見と符合

    東大生の出身地域の偏り
  • 東京の年収地図

    総務省は,5年おきに『住宅・土地統計調査』を実施しています。住宅の種類別数や土地の広さなど,住宅・土地に関する基礎統計ですが,調査対象世帯の年収分布も明らかにされています。 http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2008/index.htm すごいことに,それを全県内の市区町村別に知ることができます。これを使えば,各市区町村の世帯の平均年収を計算することが可能です。細かい地域別の平均年収を出せる資料などないと思っていましたが,探せば出てくるものですね。シノドス・ジャーナルに寄稿した文章にも書きましたが,わが国はまさに「統計大国」です。 http://synodos.livedoor.biz/archives/1990703.html この資料を用いて,東京都内の市区町村別の平均年収を計算してみました。今回は,その結果をご覧に入れようと思います。 『住宅・土地

    東京の年収地図
  • 首都圏の年収地図

    昨年の12月2日の記事では,東京都内の区市町村の年収地図を紹介したのですが,今回は,首都圏(1都3県)にまで射程を広げたものをつくってみようと思います。 県別ならいざ知らず,区市町村別の平均年収が分かる資料なんてあるのかと思われるかもしれませんが,あるのです。総務省が5年おきに実施している『住宅・土地統計調査』です。この資料から,単身世帯等も含む全世帯の年間収入分布を,区市町村別に知ることができます。 http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/kekka.htm この調査でいう「世帯の年間収入」とは,「世帯全員の1年間の収入の合計」とされています。ボーナスや財産収入等も軒並み含むのとこと。各世帯の年収が正確に把握されているといってよいでしょう。 私は,最新の2008年調査の結果を使って,首都圏218区市町村の平均年収を計算しました。六木ヒルズのある港区(東京)

    首都圏の年収地図
  • 貧困と学力の相関

    前回は,小・中学生のうち,生活保護受給者がどれほどいるかを都道府県別に明らかにしました。今回は,この生活保護受給者率と,子どもの学力水準がどう相関しているかを分析してみようと思います。 私は,東京都内49市区のデータを使って,失業率や一人親世帯率といった生活不安指標と,児童・生徒の学力テストの平均正答率の相関関係を調べたことがあります(「地域の社会経済特性による子どもの学力の推計」『教育社会学研究』第82集,2008年)。そこでは,大変強い負の相関が観察されました。これは,東京という局所のデータの知見ですが,分析の次元をより引き上げた県別のデータでも,このような相関がみられるかどうか,興味が持たれます。 http://ci.nii.ac.jp/naid/110006793455 各県の子どもの学力指標としては,文科省『全国学力・学習状況調査』(2010年度)の各科目の平均正答率(%)を使い

    貧困と学力の相関
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