中国東北部で1939年夏に起きた国境紛争「ノモンハン事件」から今年で80年になる。旧ソ連軍の大規模な攻勢を前に23歳で命を絶たれた石巻市出身の旧陸軍大尉の日記が、同市内で人知れず保管されている。多くの遺品と共に日記を預かる元女川高校長佐々木慶一郎さん(72)は「未来ある人間の命を奪うのが戦争だ」と戦場に散った若者を悼む。 日記を残したのは、稲井村(現石巻市稲井)出身の後藤東一郎大尉。石巻中(現石巻高)卒業後、33年4月に陸軍士官学校に入学した。第7師団第28連隊配属で38年2月までに中国東北部へ赴き、39年8月24日、敵弾に倒れた。 日記は計10冊。陸士入学直前から戦死2カ月前の39年6月までの日々を、700ページ超にわたってつづる。 いずれも表紙裏には「将校生徒タルノ誇ヲ忘ルヘカラス 淡泊ヲ以テ終始スヘシ」との墨書きがある。強い使命感を持ちながら、冷静さを失わない将校を目指していた姿をし