日本中の地方自治体にとって、高齢化と人口減少を踏まえたまちづくりは大きな課題のひとつだ。そのなかでも、英誌「エコノミスト」は富山市に注目。同市の30年先を見据えた都市計画とは、いったいどんなものなのだろうか? 小さくて高密度の、車に依存しない都市を目指して 東京から北西に250キロ、紺碧の湾と雪を頂く峰々の狭間に富山市はある。ここは多くの点で、日本の地方都市の典型的な一例といえる。 住民は高齢化し、産業は安定しているが硬直化もしている。しかし料理は素晴らしい。第二次大戦中には、鉄工所を狙ったアメリカ軍の焼夷弾が街の中心部の99%を焼き払ったが、その後の人口増加に伴い、富山市は迅速に再建・拡大していった。 しかし、それも今は昔。人口41万4千人(今も減少中)の同市は、1990年代以来、高齢化に伴う課題と闘ってきた。すなわち、膨れ上がる支出、減り続ける税収、そして時代遅れの都市計画である。 し