メキシコ国境を越えて米国に不法入国し身柄を拘束された人数(不法越境者数)は21年度(20年10月~21年9月)が165.9万人となり、統計を開始した1960年以来で最高となった。特に、バイデン大統領が就任した21年1月以降の増加が顕著となっている(図表1)。また、22年度も10月と11月分が前年度を大幅に上回っているため、このままのペースが続けば、さらに史上最高を更新する可能性が高い。 不法越境者が大幅に増加した要因は、新型コロナウイルスの感染拡大によって中南米諸国の雇用が大きな打撃を受けたことに加え、21年1月に発足したバイデン大統領がトランプ前大統領と異なり、人道的な観点から不法移民に対して寛容と捉えられたことが大きい。 中南米とカリブ海諸国では新型コロナの感染拡大に伴い、2,600万人の雇用が喪失したと推計されている。国際通貨基金(IMF)は同地域では娯楽や観光業など接触集約的職業の