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  • ノア・スミス「脱成長:いらないよそんなの」(2023年5月24日)

    貧困と衰退を称えてみたって環境や貧しい人たちの助けになんてならない 1年半まえ,「脱成長論はろくでもないってみんなも気づきつつある」ってタイトルの記事を書いた〔日語版〕.あの頃,脱成長運動はアメリカでちょっとだけ注目を集めつつあった.気候変動に対抗する主要な行動をすすめようとする人々の後押しの一環としてだ.でも,エズラ・クライン,ブランコ・ミラノヴィッチ,ケルシー・パイパーといった著作家たちが意見を言葉にして,この考えを批判した.要点をかいつまんでいうと: クラインの指摘――〔脱成長で求められる〕生活水準の大幅な低下は,豊かな国々では政治的に受け入れられそうにない. ミラノヴィッチは次の点を論じた――世界規模で意味のある脱成長が実現されるには,豊かな国々をこえて運動が広まらないといけない.他方で,脱成長のためには,貧しい国々が貧困から抜け出すのを止めなくてはならない.これは,政治的に実現

    ノア・スミス「脱成長:いらないよそんなの」(2023年5月24日)
    tick2tack
    tick2tack 2023/09/23
    そも脱成長論は世界規模でやることが前提ってのがわかるな。/ 意外と「政治的に受け入れられない」という反論が多いな。/ けっきょく脱成長論者も「みんなで貧しくなる」じゃダメだと気づいてるのか
  • ノア・スミス「実際のところ日本はどれくらい同質なの?(再投稿)」(2023年8月1日)

    再投稿のまえおき――日に(また)向かう空の便で,今日はトランジットにいる.そこで,このサブスタック初期に書いた日関連の記事をひとつ再投稿しよう.移民流入ブームから観光ブームのあいだに,近年,日はずっと国際的になっている.とくに東京と京都がそうだ.ただ,世の中の人たちが思っているほど日が同質だったことは一度もない.「日はなんらかの意味で人種的に純粋で,外国人嫌いで,閉鎖的な国だ」という考えに立脚して日は同質だと捉える見解は,どれもずいぶんな戯言だ.今回も,そういう考えを抱いている人を見かけても訂正してあげない方がいいかもしれない.ホントのことを知っちゃったら,日に行きたがる人がさらに増えちゃうかもしれないからね! それは「同質」の定義しだいだね もうね,あともう一度でも「日は同質な社会だ」とか聞かされたら,憤慨するままに一記事を書いちゃうよ.というか,これがその記事か. ア

    ノア・スミス「実際のところ日本はどれくらい同質なの?(再投稿)」(2023年8月1日)
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    tick2tack 2023/09/23
    米国生まれと帰化を含めると米国人は93.3%。移民14%と聞くが子供も含めるからかな。/ 日本に住むマイノリティは排除されがちゆえ長期的に同質化に向かう。
  • ノア・スミス「進歩派は進歩を歓迎する必要がある」(2023年3月22日)

    現状維持では、繁栄した社会も公正な社会ものぞめないよ 自分たちが参加してる運動の看板どおりに暮らすことを心から気にかけてる人なんて,多くはないとぼくは思ってる.保守派の人に,「どうして自然環境を保守しようとしないの?」と聞いてみても,あるいは,生命尊重派〔中絶反対派〕の人に「どうして死刑に賛成してるの?」と聞いてみても,当人の価値体系を深く考え直す必要を覚えないだろう.同じく,進歩派の人に,「キミが大事にしてる信念や政策アプローチのなかには『進歩』の邪魔になってるものがあるよ」と伝えてみたところで,当人が夜も眠れないほど頭を悩ませる結果になるなんて,期待はしない.そんなことを言ってみたところで,「この人とは『進歩』の定義がちがうんだな」と決めつけられておしまいだろう. とはいえ,問題は言葉の意味で終わりではなく,もっと深い.いま進歩派の人たちがとっているアプローチの多くは,進歩にとって有

    ノア・スミス「進歩派は進歩を歓迎する必要がある」(2023年3月22日)
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    tick2tack 2023/09/23
    1.予算しか見ず実行の経路をチェックしてない 2.阻止権の乱用 3.政策への過剰な相乗り / "目標に関心を集中させて,その実現方法については柔軟に考えられるようになった方がいい"
  • サイモン・レン=ルイス「財政再建に励んでも債務対GDP比が下がらない理由,そして,政治家たちが見当違いなタイミングで財政を引き締めがちな理由」(2023年4月18日)

    サイモン・レン=ルイス「財政再建に励んでも債務対GDP比が下がらない理由,そして,政治家たちが見当違いなタイミングで財政を引き締めがちな理由」(2023年4月18日) 「財政再建に取り組むべし」(公共支出削減や増税をすべし)という主張の理由として,しばしばこういうことが言われる.「債務対GDPの比を下げるのに必要だからだ」 ――だが,なるほど財政再建のためのさまざまな方策を打てば公共部門の債務は減少する見込みが大きいものの,同時に,GDP も減少させることになる見込みも大きい.だから,債務対GDPの比への影響は定かでない.IMF が公開したばかりの研究によれば,過去の証拠に照らして見ると,財政再建が債務対 GDP 比にもたらす影響は,平均で見て無視できる程度(i.e.実質ゼロ)なのがうかがえる. さらにその研究を詳しく見てみると,緊縮支持派にとっていっそう悪い研究結果が出ていることが見てと

    サイモン・レン=ルイス「財政再建に励んでも債務対GDP比が下がらない理由,そして,政治家たちが見当違いなタイミングで財政を引き締めがちな理由」(2023年4月18日)
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    tick2tack 2023/09/23
    財政再建はGDPを現象させるため “債務対GDPの比への影響は定かでない”/ インフレ制御は金融政策、経済回復は財政政策。
  • ノア・スミス「うん,もちろん TikTok は禁止すべきだよ」(2023年3月20日)

    武器に転用された相互依存を減らす トランプが試みて失敗したことを,いまバイデンと議会が試みている:中国企業が所有している動画アプリ TikTok の強制的な禁止だ.親会社の ByteDance が同アプリをアメリカ企業に売却しないかぎり,アメリカ国内での運営を強制的に停止しようと,バイデンたちは試みている.これには理由が2つある.そして,そのどちらも,「アメリカの子供たちの注意力が下がるのを防ぎましょう」とか「アメリカ企業を競争から救いましょう」といった話と関係がない. TikTok禁止に動いている理由は次の点にある: TikTokアメリカ人ユーザーたちに関するデータを中国共産党に送信していて, しかもTikTok はおそらく中国寄りの検閲を受けており,アメリカ人ユーザーたちが中国共産党のさまざまな目標を支持するように誘導しようと試みている. ごく簡潔に,それぞれの理由について話そう.

    ノア・スミス「うん,もちろん TikTok は禁止すべきだよ」(2023年3月20日)
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    tick2tack 2023/09/23
    個人情報の中国へのデータ送信と中国政府による検閲の問題。レコメンドによるプロパガンダ。/ "武器に転化された相互依存""アメリカが国民国家として再びふるまい始めている"
  • ラジブ・カーン「民主党は過激なピューリタン的ポリコレによってマイノリティから見放されつつある:インナー・サークル化する民主党」(2022年7月14日)

    Only The Inner Party Posted by Razib Khan On JULY 14, 2022 ノア・ロスマン著『新たなるピューリタンの台頭』 1829年、アンドリュー・ジャクソンが第7代大統領選に就任してから約20年間、アメリカを支配していたのは南部だった。たしかにマーティン・ヴァン・ビューレンのような北部人の大統領もいたかもしれない。しかし、そうした人も南部連合のリーダーだった。1850年代になって、北部が工業的に発展し、南部の人口を上回ったため、この南部連合は不安定なものなっていく。それでも、中部太平洋地域が北部に参加し、大ニューイングランドと一体となって投票するようになり、さらにフランクリン・D・ルーズベルトが古い民主党を破壊するまでの数十年間という少なからずの時間を経ないと、南部の支持基盤が共和党に移る再編成は起こり得なかった。 〔訳注:「大ニューイングラン

    ラジブ・カーン「民主党は過激なピューリタン的ポリコレによってマイノリティから見放されつつある:インナー・サークル化する民主党」(2022年7月14日)
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    tick2tack 2023/08/27
    “ 大学教育を受けていないマイノリティは民主党からの離反を続けている”
  • ノア・スミス「ロバート・ルーカスとは何者で何を残したのか:追悼 彼の世代で最も影響力をもったマクロ経済学者」(2023年5月16日)

    20世紀後半に最も影響力があったマクロ経済学者として知られるロバート・E・ルーカス・ジュニアが、今日85歳で逝去した。ジョン・メイナード・ケインズやミルトン・フリードマンに比肩する偉大な学者だったが、アカデミア以外でその名はあまり知られていない。 私にとってルーカスは、マクロ経済学の授業を初めて受けたときから、魅力的な人物であり、ある意味で謎めいた人物だった。ルーカスは、現在では「DSGE」と呼ばれる高度に形式化された数学的モデルに専門家を誘ったが、彼の最も影響力をもった論文では、シンプルな数学と論理的な考察しか行われていない。彼の自前の理論は、現在ではほとんど使われておらず、マクロ経済学者もあまり信用していないが、経済理論の行い方(そして行ってはならない方法)についての彼の考察は、マクロ経済学分野での基礎となった。 ルーカスによる間違いなく最も有名な研究は、1995年にノーベル賞を受賞し

    ノア・スミス「ロバート・ルーカスとは何者で何を残したのか:追悼 彼の世代で最も影響力をもったマクロ経済学者」(2023年5月16日)
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    tick2tack 2023/08/27
    ロバート・ルーカス 1.合理的期待 2.テクノロジー、選好、資源、政策によって用意に変更できないものに基づく経済モデル 3.その場の裁量でなくルールに従って政策を行い分析できるようにする
  • ブランコ・ミラノヴィッチ 「総力戦は格差を縮小させ得るか?」(2017年10月21日)

    「総力戦(国民が大量に動員される戦争)は所得格差を縮小させる」という説――「格差是正装置としての戦争」仮説――は、疑う余地のない自明の理なのだろうか? 「総力戦(国民が大量に動員される戦争)は所得格差を縮小させる」というのが自明の理のようになっている。マックス・ベロフ(Max Beloff)の『Wars and Welfare』(『戦争と福祉』)がこの説の起源なんじゃないかと思う。あるいは、ベヴァリッジ報告が起源かもしれない。あるいは、もっと遡(さかのぼ)れるかもしれない。ともあれ、その理屈を理解するのは難しくない。第一次世界大戦や第二次世界大戦のような大規模戦争では、何百万人もの国民に協力してもらう必要がある。普通の仕事を辞めて戦争に協力する彼らのために、誰かが武器に加えて衣住を代わりに提供してやらねばならない。少なくとも、生きていられるギリギリの線を上回る生活を保障してやらねばならな

    ブランコ・ミラノヴィッチ 「総力戦は格差を縮小させ得るか?」(2017年10月21日)
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    tick2tack 2023/08/27
    総力戦は所得格差を縮小させるか。格差是正装置としての戦争仮説を支持する声が上がりだしてるが "多くのケースで実証的に裏付けられていても、すべてのケースで成り立つとは限らないのだ"
  • ラジブ・カーン「なぜインテリは皆で“ウォーク(感情的文化左派化)”するのか、あるいは“保守”にならない理由」(2020年9月30日)

    (ウォークしていない)進歩派の友人に、「インテリには、左派/進歩派が多くて、保守派が圧倒的に少ないのはなぜなんだい?」と聞かれた。私は大まかに2つの理由があると思っている。この2つは相互作用している。 (ウォークしていない)進歩派の友人に、「インテリには、左派/進歩派が多くて、保守派が圧倒的に少ないのはなぜなんだい?」と聞かれた。私は大まかに2つの理由があると思っている。この2つは相互作用している。 まず1つ目の理由。IQが高い人は、抽象的思考、体系構築、合理的思考に馴染んていることである。左派、リベラリズム(自由主義)、リバタリアニズムといった思考形態は、合理性の体系化を端緒にしているので、IQの高い人は、そこからすぐになんらかの示唆を得ることができる。史的唯物論、ロールズ的政治哲学、新古典派経済学、自然権思想等を挙げられるだろう。保守主義は、統一的で普遍的な合理的思想体系を提示しないの

    ラジブ・カーン「なぜインテリは皆で“ウォーク(感情的文化左派化)”するのか、あるいは“保守”にならない理由」(2020年9月30日)
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    tick2tack 2023/08/27
    原題との違い/ "保守主義は、統一的で普遍的な合理的思想体系を提示しない" ので不明瞭。慣習、伝統、人間本生に傾倒。理論より経験。学問と相容れない。/ 理由の1つは集団の同質化で、それは右派が評価するもの
  • ダイアン・コイル 「富裕層への課税を強化するには? ~ケネス・シーヴ&デイヴィッド・スタサヴェージ(著)『金持ち課税』を読んで~」(2016年5月20日)

    富裕層への課税を強化したいって思う? 私の答えは「イエス」・・・だったので、『Taxing the Rich:A History of Fiscal Fairness in the United States and Europe』(邦訳『金持ち課税』)を早速読んだ。著者は、ケネス・シーヴ(Kenneth Scheve)&デイヴィッド・スタサヴェージ(David Stasavage)の二人。目が開かれる一冊だ。 『Taxing the Rich:A History of Fiscal Fairness in the United States and Europe』 まず何よりも興味を引かれるのは、所得税の最高税率の歴史的な変遷だ。200年以上に及ぶ歴史を振り返ってみると、所得税(および相続税)の最高税率(20カ国の平均)が大きく変動した局面というのはわずか2回しかない。1920年代から1

    ダイアン・コイル 「富裕層への課税を強化するには? ~ケネス・シーヴ&デイヴィッド・スタサヴェージ(著)『金持ち課税』を読んで~」(2016年5月20日)
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    tick2tack 2023/08/27
    最高税率が下がってしまってるのは戦時中とちがい強力な補償論を持ち出せないことが大きい。最高税率アンケでは回答の中央値は40%を下回る。補償論より強力な公平性論が必要と。
  • マーク・ソーマ 「格差の拡大を食い止められるか?」(2016年8月26日)

    画像の出典:https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=23592889 ロバート・シラー(Robert Shiller)がニューヨーク・タイムズ紙に記事を寄稿している。 “Today’s Inequality Could Easily Become Tomorrow’s Catastrophe” by Robert Shiller, New York Times: 経済面の格差の拡大が懸念されて久しいが、数十年後には悪夢になってしまっているかもしれない。我々の社会には、格差の拡大をいなす機能が欠けているかもしれないのだ。 ・・・(中略)・・・ どういう結果になりそうかを判断するための方法の一つが、過去に何が起こったかを振り返ることだ。・・・(略)・・・ケネス・シーヴ(Kenneth Scheve)と、・・・(略)・・・デイヴィッド・スタサヴェ

    マーク・ソーマ 「格差の拡大を食い止められるか?」(2016年8月26日)
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    tick2tack 2023/08/27
    格差が拡大しても富裕層への課税は概して強化されてこなかった。 "私たちは、所得をがっつりと再分配するのが得意ではないのです" w
  • マーク・ソーマ 「お金持ちは冷たい心の持ち主か?」(2014年7月26日)/「お金持ちは他人に無関心」(2013年10月6日)

    お金や権力を持っている人たちのあまりに多くが、お金にも権力にも恵まれていない人たちの苦労にあまりにも冷淡で無関心なのは、なぜなのだろう? “Are the Rich Coldhearted?” by Michael Inzlicht&Sukhvinder Obhi, New York Times: ・・・(略)・・・権力の持ち主――社長、上司、セレブ、家庭の中のリーダー――は、彼らに従う者たちにいとも容易(たやす)く共感できるんだろうか? 心理学のこれまでの研究成果によると、その答えは「ノー」のようだ。 ・・・(中略)・・・ 権力が人を冷淡にするように見えるのは、なぜなのか? プリンストン大学の心理学者であるスーザン・フィスケ(Susan Fiske)らによると、権力の持ち主が周りの人間に大して気を配らないのは、(お金だとかの)重要な資源を手に入れるために他人の助けを必要としないからだとい

    マーク・ソーマ 「お金持ちは冷たい心の持ち主か?」(2014年7月26日)/「お金持ちは他人に無関心」(2013年10月6日)
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    tick2tack 2023/08/27
    権力の持ち主は他人の助けを必要としないから周りの人間に大して気を配らない。/ 権力を持つものは格下の相手に大して注意を払わない。富裕層とその他大勢との間で共感力の格差が広がりつつある
  • タイラー・コーエン 「ビリにはなりたくないから、再分配には反対」(2011年10月18日)

    画像の出典:https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=1577861 驚くべきことに、再分配への支持が不況の最中に急落している。総合的社会調査(GSS)では、「富裕層貧困層の所得格差を縮めるために、政府は何らかの手を打つべき」と思うかどうかについて18歳以上の成人を対象に長年にわたって聞き取り調査を行っているが、この問いに対して肯定的な答えを寄せた――「政府は(格差の縮小に向けて)何らかの手を打つべきだ」と答えた――人の数が2008年(前回の調査)から2010年(最新の調査)の間に急減しているのだ。 他の聞き取り調査でも同様の結果が得られている。 ・・・(略)・・・裕福な白人の共和党支持者がオバマ大統領の路線に反旗を翻しているためとは言えないようだ。再分配への支持を引っ込めている人の数で言うと、富裕層よりもマイノリティの方がその数がちょっと

    タイラー・コーエン 「ビリにはなりたくないから、再分配には反対」(2011年10月18日)
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    tick2tack 2023/08/27
    不況時に再分配支持が急落する。富裕層も平均所得以下と自認する層も同じぐらいになる。ビリ尻回避志向ではと。/ 最低賃金引き上げに一番強く反対するのは時給7.26-8.25ドルの層
  • タイラー・コーエン 「格差の拡大が再分配の強化につながるのはどんな時? ~肝心なのは『水準』ではなく『構造』~」(2011年6月3日)

    ヘンリー・ファレル(Henry Farrell)が興味深い論文の概要を紹介している。 American Political Science Review誌に掲載されているノーム・ルプ(Noam Lupu)&ヨナス・ポントゥソン(Jonas Pontusson)の二人の共著論文(pdf)で、格差と再分配の関係にメスが入れられている。社会全体の経済格差の「水準」が高まると再分配が強化されるかどうかをめぐって盛んに論争が繰り広げられているが、経済格差の「水準」よりも経済格差の「構造」の方が大事というのがルプ&ポントゥソンの論である。すなわち、経済格差の度合いを測る(ジニ係数のような)統計指標の値よりも、異なる所得層間の関係の方が大事だというのだ。 もっと具体的に踏み込むと、人種間/民族間の分断に関わる変数をコントロールすると、中間層(所得分布のちょうど真ん中)と貧困層(所得下位10%)の所得格差

    タイラー・コーエン 「格差の拡大が再分配の強化につながるのはどんな時? ~肝心なのは『水準』ではなく『構造』~」(2011年6月3日)
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    tick2tack 2023/08/27
    中間層(中央値)と貧困層(所得下位10%)の所得格差が小さいと仲間意識から中間層は再分配を支持するが、差が大きいと支持しなくなる。米国はそうでもないが人種要因が絡んでるため
  • タイラー・コーエン 「再分配賛成派は怒りがち?」(2011年4月11日)

    ノースウェスタン大学のジェームス・リンドグレーン(James Lindgren)の論文より。 ・・・(略)・・・総合的社会調査(GSS)のデータに照らすと、再分配政策を大いに支持する「再分配賛成派」の面々は、再分配政策に強硬に反対する「再分配反対派」の面々と比べると、過去1週間のうちに怒ったり、誰かに腹を立てたり、激高したり、悲しみに浸ったり、孤独を感じたり、憂(ゆううつ)になったりしたことがあると答える確率が2~3倍ほど高かった。翻(ひるがえ)って、再分配反対派は、再分配賛成派と比べると、幸せで悠々(ゆうゆう)とした一週間を過ごせたと答える確率が2~4倍ほど高かった。再分配賛成派は、怒りがちなだけでなく、怒りが長続きしがちでもある。さらには、直近で怒ったのはいつだったかと問われると、その時に復讐を企てたと答える確率も再分配反対派の倍以上だった。最後に、再分配賛成派にしても反資主義者(

    タイラー・コーエン 「再分配賛成派は怒りがち?」(2011年4月11日)
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    tick2tack 2023/08/27
    論文では収入などを調整すると影響は減少するが小さいながらも重要と。反対派は教育水準、世帯収入が高く人種差別主義が少なく、不人気なグループに対し寛容でなく、寄付に寛大
  • アレックス・タバロック 「再分配政策が支持されるのは、『同情』と『嫉妬』と『利己心』ゆえ」(2017年8月9日)

    誰かしらが再分配政策を支持するのは、どうしてなんだろう? 少人数で固まって(小規模の集団で)狩猟採集を行うのに役に立ったがゆえに進化してきた「感情」に突き動かされるためだというのがハイエクの答えだ――加えて、その「感情」は、狩猟採集社会とは比べ物にならないくらい大勢の人が関わり合う社会秩序(例:資主義社会)を生み出す上で必要になるルールとそりが合わないという――。 ハイエクの仮説を支持する研究が登場した。スニザー(Daniel Sznycer)らの論文(計9名による共著論文)がそれだ。この論文では、聞き取り調査を通じて一人ひとりの「同情度」と「嫉妬度」が測られている。例えば、「同情度」を測るために、「誰かが悲しんでいるのを見ると苦しくなる」だとか「情にもろい人は苦手です」だとかという文章(計10の文章)が用意されている。「嫉妬度」を測るためには、「誰かがいとも簡単に成功している(手柄をあ

    アレックス・タバロック 「再分配政策が支持されるのは、『同情』と『嫉妬』と『利己心』ゆえ」(2017年8月9日)
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    tick2tack 2023/08/27
    同情、嫉妬、利己心はどれも大きいほど再分配支持を強める。公正さはその関係がずっと小さい。慈善事業への寄付と相関するのは同情だけ。/ 再分配を貧困救済より富裕層への罰を優先する人が14-18%居る。
  • ジェイソン・コリンズ 「嫉妬という感情がこの世から無くなったとしたら」(2011年8月17日)

    ブライアン・カプラン(Bryan Caplan)が次のように述べている。 自分よりもお金を持っている相手に嫉妬を抱くようなら、打倒すべきなのは「格差」ではなく「嫉妬」だと言いたい。「嫉妬を感じるというのは、人間に埋め込まれた能なのだ」という反論はその通りだとしても、的外れなのだ。 ・・・(略)・・・ 「人間に埋め込まれた能」だからといって、びくともしないってわけじゃない。程度の差はあれ、誰もが嫉妬を感じるかもしれない。しかしながら、嫉妬という感情を操(あやつ)れる余地はたくさんある。今よりも嫉妬深くなくなるのは不可能じゃないのだ。 自分を見つめよ。これまでにどれだけの幸運に恵まれたかを思い返せ。 誰かが手柄をあげたら称えよ。誰かと比べようとするのではなく、自分を磨くのに注力せよ。嫉妬深くない人たちと一緒に過ごす時間を増やせ。 これまでの歴史の中で、嫉妬を感じた誰かしらが子孫を残すのに秀

    ジェイソン・コリンズ 「嫉妬という感情がこの世から無くなったとしたら」(2011年8月17日)
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    tick2tack 2023/08/27
    適者生存な面から考えるなら嫉妬は「自滅的」と言われるものではないと。とはいえ社会の高度化によって社会的な面でのマイナス要因の影響は昔より大きくなってるかも
  • マイルズ・キンボール 「二種類の嫉妬 ~すべての嫉妬が悪いわけじゃない~」(2014年4月26日)

    「幸福」や「人生への満足感」の研究に深く手を突っ込んでいる経済学者の一人として、ジェニファー・B・ウォレス(Jennifer Breheny Wallace)が執筆しているこちらの記事にいたく興味を覚えた。要所を引用しておこう。 ミシガン大学の研究チームが調査の結果をまとめた論文が昨年(2013年)の8月に学術誌であるPlos One誌に掲載された。その論文によると、フェイスブックをチェックする頻度が多くなるほど、人生に対する満足度が低くなる傾向にあるという。同じく2013年にドイツの研究チームがおよそ600人のフェイスブック・ユーザーを対象に行った別の研究では、サイト上で「嫉妬が渦巻く」様子が確認されている。 どうやら現代版の嫉妬は、悪いところしかないように思える。いや、そうとは限らない。これまでの研究によると、やり方次第では、嫉妬という大罪(七つの大罪の一つ)から良い面を引き出せる可能

    マイルズ・キンボール 「二種類の嫉妬 ~すべての嫉妬が悪いわけじゃない~」(2014年4月26日)
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    tick2tack 2023/08/27
    良性の嫉妬は奮起を促すが、悪性の嫉妬は誰頭に難癖をつけ相対的に自分をよく見せようとする。相手への称賛はやる気を促さなく嫉妬の方が良いというのは面白い
  • タイラー・コーエン 「嫉妬(しっと)について」(2003年10月15日)

    我々は、自分と似た相手に嫉妬を抱く。すなわち、自分よりも稼ぎがちょっぴり多い相手には嫉妬を抱くが、ビル・ゲイツには嫉妬を抱かない。 男性は、女性とよろしくやっている他の男性を許し難く感じる。 男性は、女性に対してそこまで嫉妬しない。男性にとっては、女性というのは「人生におけるご褒美の一つ」のようなものだからだ。 嫉妬についてこの上なく洞察力のある文章を書き残している哲学者は、未婚男性ばかり(カント、キルケゴール、ショーペンハウアー、ニーチェ)。 ジョゼフ・エプスタイン(Joseph Epstein)の愉快な一冊である『Envy』(邦訳『嫉妬の力で世界は動く 』)で述べられている内容を私なりにまとめてみた。エプスタインへのインタビューはこちら。エプスタインが嫉妬について論じているエッセイはこちら。エプスタインにまつわる情報がまとめられているページはこちら。 私なりの感想:エプスタインの文才に

    タイラー・コーエン 「嫉妬(しっと)について」(2003年10月15日)
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    tick2tack 2023/08/27
    嫉妬について。1.自分と似た人に抱く 2.男性は女性と仲の良い男性を許せない 3.男性は女性にはあまり嫉妬しない(競争相手とみなされてない) 4.嫉妬について洞察を残してる哲学者は未婚男性ばかり
  • マーク・ソーマ 「経済面での格差が小さい国ほど、戦争で勝てる確率が高い?」(2006年9月27日)

    画像の出典:https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=23616692 「私は伝達役に徹するだけだ」と語るのはクリス・ディロー(Chris Dillow)。 —————————————【引用ここから】————————————— “Equality and war” by Chris Dillow: アメリカ国内における経済格差が足枷(あしかせ)になって、イラクの抵抗勢力を抑えきれないかもしれない。そんなメッセージを伝えている論文はこちら。著者であるジェームス・ガルブレイス(James Galbraith)&コーウィン・プリースト(Corwin Priest)&ジョージ・パーセル(George Purcell)の三人によると、国内の経済格差の程度と、その国が戦争で勝てる確率との間には密接なつながりがあるという。 1962年~1999年に起きた戦

    マーク・ソーマ 「経済面での格差が小さい国ほど、戦争で勝てる確率が高い?」(2006年9月27日)
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    tick2tack 2023/08/27
    経済的格差の小さい国ほど戦争に勝つ。1.連帯感が強い 2.治安が良い 3.忠誠心が低い層が少ない