阪神電鉄の本線(大阪・梅田―神戸・元町間、33駅)は、駅間の平均距離が約1キロと、路面電車並みに短い。このため、各駅停車の「普通」には、特に加速と減速の性能を高めた5000系(通称・ジェットカー)と後継の車両が使われている。 40年以上走る5000系の中で、特にファンらの注目を集めるのが「5314号」だ。4両編成の神戸寄り先頭車で、電光式の表示装置が当たり前となった今も同装置がなく、看板式の行き先表示板を掲げ、梅田―高速神戸間で走る。 5314号は1968年製造。クリーム色と深い青色の塗り分けは変わらず、発車して約20秒で時速90キロに達する加速の良さは、現在も全国最高水準。ただ、5314号は今年度中に廃車予定で、ジェットカー本来の姿が見納めとなる時期は近づいている。