4年前、06年の終戦記念日は狂騒の一日だった。時の首相、小泉純一郎氏はこの日午前7時41分、東京・九段の靖国神社を訪れ、首相としては21年ぶりの「8・15参拝」に踏み切った。テレビは早朝から生中継し、新聞の夕刊もこのニュースで埋め尽くされた。靖国神社には午前9時段階で前年の5倍、1万人余の参拝の列が続いた。 この日夕方、参拝に一貫して反対していた加藤紘一元自民党幹事長とともに、私はテレビの報道番組に出ていた。「小泉氏は決して保守のイデオローグではないけれど、この参拝はナショナリズムを過度にあおる心配がある」といった話をしたと記憶する。番組終了から間もなく、山形県の加藤氏の実家が後に右翼団体所属と分かる男に放火され全焼したと聞いて、言葉を失った。 さらに衝撃だったのは、その後、多くの若い人たちから「なぜ、あなたは参拝に反対するのか」と激しい抗議のメールをもらったことだった。 共通していたのは