「修行してくる」と夫が、竹刀を持って庭に出ては、ソレを振り回している。「あっ、そう修行ネ」と目もくれず返す。夫、御歳70。 彼は、『修行』と言う言葉が好きなようで、よく使っている。ただの運動なのに、何でそんな言葉を使うのか?理解に苦しむ。You Tubeで剣道の試合とか審査の動画も修行と言う言葉で、毎日観ている。たまに「えぃー!あー!」とかの叫び声が、動画から漏れてくる。もう、静かに観ていてほしいものだ。 彼は、子供の時、数年道場に通ったそうだ。それ以降は、長い間、竹刀に触れず社会人になったが、どういう訳かまた竹刀を振りたくなり、仕事を終えた後に道場通いをし、3段迄取得した。が………、仕事も忙しくなり、通うことも困難になって、徐々に剣道から遠ざかって行った。 私と知り合った時には、会社の剣道部には所属していたが、部費だけを払う幽霊部員。そんな状態が数十年続いたが、役職定年となり時間に余裕が