トーマス・ルフの作品をリアルに見たのは2008年、スイスのバーゼルのギャラリーで個展をやった時に、同時期に開催されていた世界最大規模のアートフェアである「ART BASEL」でだった。自分たちの展示が行われたメディア・アート系のギャラリー「plug.in」が、若手のアートフェアである「LISTE」にブースを持っていたことからそちらにも参加でき、その流れで本体であるART BASELのチケットがもらえたのである。 自分たちの活動領域であった〈メディア・アート〉と、アートフェアに出ているような大文字の〈アート〉との隔たりは大きく、特に予備知識がない状態で“冷やかし半分”で見に行ったのを覚えている。そこには誰でも知っているような超有名な作品が羅列され、警備員がウロウロする中で、あからさまにリッチに見える人たちが小さいテーブルで商談をしていた。そんな光景を田舎者のようにキョロキョロ眺めながら、新し
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