ドイツ政治の保守の牙城(がじょう)、南部バイエルン州で異変が起きている。14日にある州議会選挙で、これまで単独過半数を占めてきたメルケル政権の与党が大幅に議席を減らし、緑の党などとの連立協議を余儀なくされる見通しだ。難民政策や連立与党内の迷走が影響した格好で、批判の矛先がメルケル首相に向かう可能性もある。 「長く、険しい選挙運動だった」。バイエルン州議会で現在、単独過半数を占めるキリスト教社会同盟(CSU)のゼーダー州首相は12日の記者会見で苦渋の表情を浮かべた。 CSUは戦後の50年以上にわたって同州議会で単独過半数を占めてきた。保守的な農村やカトリック社会と密接なつながりを持ち、王国が長く続いたバイエルンの独自政党として存在感を示してきた。州内では、メルケル首相が党首の姉妹政党キリスト教民主同盟(CDU)は活動せず、事実上、CDUの「州支部」のような役割も担う。 今回の選挙でCSUは歴