帰って来る途中でFMをつけたら『くるみ割り人形』の「金平糖の踊り」が流れてきた。この曲は曲として聞くというより、バレエの伴奏として耳にする感じなのだけど、こうやってステレオで聞いていると、なんだか懐かしい気持ちになってきた。 モーツァルトに比べて、ベートーベンやチャイコフスキーはある意味ダサい。でもベートーベンはその精神性のどこまで行くんだという凄さみたいなものがあって、やはりベートーベンはベートーベンだなと思うのだけど、チャイコフスキーは敢えて音楽として聴こうという気があまりしないところがある。吉田秀和がプーシキンに始まったロシア文学に対して、音楽がチャイコフスキーで始まったことは何かロシアの音楽が残念なものになる原因になっている、というようなことを書いていて、私自身もそう思っていたのでわが意を得たりという感じだった。 それはつまり、文学にしろ音楽にしろロシアはヨーロッパに遅れて発達した