熟慮して失敗する方が、即断して失敗するよりも学習効率が上がることがネズミを使った実験で分かったと、東京大学の池谷裕二教授(神経科学)らが発表した。 人間が学習する仕組みの解明にもつながる可能性があるという。米科学誌「プロスワン」(電子版)に掲載された。 実験ではまず、壁に開いた二つの穴に鼻をつっこむとエサがもらえる仕組みをネズミに学ばせた。その後、不正解の穴の上に緑色のランプを点灯させ、点灯していない正解の穴を選んだ時だけエサがもらえるルールを学習させた。22匹のネズミで実験し、選択にかかる時間やルールを覚えるまでの回数を検証した。 その結果、全てのネズミに共通して、正解を導き出す際には4秒ほどじっくり考える一方、不正解を選ぶ際は反射的に行動する傾向がみられた。ただ、不正解の前にも「熟慮」していたネズミは、反射的な行動で失敗するネズミに比べ、少ない回数でルールを覚える傾向があった。