デジタル画像時代の写真論。ただしデジタル画像となれば写真もCGもデータとしては同じなので、実際には写真+CG論である。 本書の面白いところは、人文的な写真論とデジタル画像の技術論がセットになっているところだ。 もっとも技術論の方は、10年以上前に書かれた本ということもあって、別に目新しいこともなく、普通の(知っている人から見れば常識の)ことが書いてあるのだが、そこに美術論などの視点も登場してくるので驚かされる。 たとえば、レイトレーシング法の説明ではレオナルド・ダ・ヴィンチとデューラーの技法が引かれるし、ラジオシティ法の説明ではファン・エイクの絵画「アルノルフィニ夫妻」の画法が引き合いに出される。 とはいえ、読むべきは技術論の方より最初と最後の写真リテラシーのところだ。 写真は真実を写すものと思われていただけに、写真は多くの人々を欺いてきた。切り貼りによる改竄、キャプションのすり替え、削除