ブックマーク / tmaita77.blogspot.com (8)

  • 進学先は首都圏か関西圏か

    北陸新幹線が開通したことにより,北陸地方と東京がより短時間で結ばれることになりました。結構なことですが,関西圏の人たちは心境複雑のようで,大阪府の松井知事は「東京と北陸が新幹線でつながるとこちらが不利」と漏らしています。 http://news.livedoor.com/article/detail/9888447/ しかし,より危機感を抱いているのは,ほかならぬ大学関係者かもしれません。大学進学段階では地域移動が激しくなりますが,北陸地方といえば,首都圏と関西圏が常に拮抗しているところ。関西の大学にすれば,入学者の供給源を奪われることにもなりかねません。 これからどうなるかは,神のみが知るところですが,ちょっと現状分析をしてみましょう。文科省の「学校基調査」から,各県の高校出身の大学進学者が,どこの大学に進学したかを知ることができます。 http://www.mext.go.jp/b_

    進学先は首都圏か関西圏か
  • 首都圏の家賃地図

    先日,2013年の「住宅土地統計」の確報結果が公表されましたが,県よりも下った区市町村別にいろいろな情報を知ることができるスグレモノです。 http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/kekka.htm 前々回と前回は世帯の平均年収に注目しましたが,今度は平均家賃をみてみましょう。こちらは,原資料に計算済みの数値が掲載されています。各地域の借家世帯の平均家賃月額です。家賃0円の世帯は除外して算出された平均値です。 首都圏1都3県の214区市町村の値を収集し,マップにしてみました。8万以上,7万台,6万台,5万台,5万未満の5階級を設け,各地域をグラデーションで塗り分けています。 予想通り,都内の都心が濃い色になっていますね。それと横浜市の北部。周辺部に行くほど色が薄くなりますが,千葉で白色のゾーンがここまで広いとは初めて知りました。 上の地図では大まかな区切りにし

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  • 首都圏のIT産業マップ

    20世紀は「ものをつくる」時代でしたが,21世紀は「イノベーション」の時代であるといわれます。それを牽引するのは,いわゆるIT産業でしょう。 エンリコ・モレッティ著『年収は住むところで決まる』でいわれている基命題の一つは,「旧来の製造業都市の大卒者より,イノベーション都市の高卒者のほうが稼いでいる」というものです。衰退の途をたどる製造業都市と,これから伸びる可能性のあるイノベーション都市とに分化しつつある事態を物語りますが,IT産業のようなイノベーション産業は特定地域に集積する傾向があるのだそうです。 書では,アメリカ国内のデータを使ってそのことが実証されていますが,日ではどうなのでしょう。『年収は住むところで決まる』の追試作業第3弾として,わが国におけるIT産業の地域分布の様相を観察してみようと思います。

    首都圏のIT産業マップ
  • 都道府県別の大学進学率

    現在では同世代の2人に1人が大学に進学しますが,大学進学率は,この2年間続けて下がっている模様です。2011年春が51.0%,2012年が50.8%,そして2013年が49.9%なり。 これは浪人込みの進学率ですが,浪人込みの率なんて出せるのか,という疑問もあるかと思いますので,当局の計算方法を説明いたしましょう。 大学進学率とは,同世代のうちどれほどが大学に進学したかという指標です。ベースは高卒者ではありません。文科省の『学校基調査』からこの値を計算する場合,当該年に大学に入った者の数を,推定18歳人口(3年前の中学校・中等教育学校前期課程卒業者)で除すことになります。 http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm 分子の大学入学者数には,より上の世代(いわゆる浪人生)も含まれますが,当該年の18歳人口から

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  • 若年正社員のブラック企業勤務者率

    今や,現代日の流行語にもなっている「ブラック企業」。「労働者を酷使・選別し,使い捨てにする企業」のことですが(コトバンク),「酷使・選別・使い捨て」の対象にされるのは,新たに入社してくる若年社員であるといわれます。 未来の日を背負って立つ若年労働力を使い潰すブラック企業は,社会全体にとって大きな問題を孕んでいるといえるでしょう。今野晴貴さんによる「日い潰す妖怪」という形容は,実に的を射たものなり(『ブラック企業』文春新書,2012年)。 今月から厚労省がこの「妖怪」退治に乗り出すそうですが,徹底した摘発を行っていただきたいと思います。 さて,このように問題視されているブラック企業ですが,数でみてどれほど存在するのでしょうか。あいにく,この点に関する統計はないようです。まあ,企業に社員の労働時間を尋ねても,正直に答えるわけありませんものね。 記録の提出を求めても,記録そのものが改ざ

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  • 有力大学合格者のジニ係数

    ジニ係数とは,富の格差の度合いを測る代表指標ですが,用途はそれに限られません。さまざまな現象の偏りの程度を可視化するのに使うことができます。 今回は,有力大学への合格者数が高校間でどれほど偏っているかを,この指標を用いて明らかにしてみようと思います。ジニ係数の応用例の提示です。 サンデー毎日特別増刊号『完全版・高校の実力』(2010年6月12日)から,全国の4,999高校について,2010年春の主要大学の合格者数を知ることができます。以下のような形で数値が示されています。 私は,東京都内の437高校の有力大学合格者数を調査しました。ここでいう有力大学とは,東大,京大,東工大,一橋大,お茶の水女子大,東京外大,早稲田大,慶応大,国際基督教大,上智大,そしてMARCHの5大学を合わせた15大学です。 437高校のうち113校(25.9%)は,これらの大学への合格者を1人も出していません。合格者

    有力大学合格者のジニ係数
  • 東大生の出身地域

    1月24日の記事でみたように,東大生の親の職業には,かなりの偏りがあります。具体的にいうと,管理職層や専門・技術職層への偏りが顕著です。このことは,最高学府への進学機会が出身階層によってかなり規定されていることを示唆しています。 今回は,東大生の出身地域をみてみようと思います。出身地域は,出身階層に劣らず,個々人のライフ・チャンスを規定する重要な因子です。東大への進学ということでいえば,それを有利ならしめる有名私立校や予備校などが,都市部に偏在していることは,まぎれもない事実です。 そうである以上,東大生の多くは,都市的な地域の出身者でないでしょうか。私は地方出身者ですが,こういう地域格差の問題については,以前より関心を持ってきました。ちなみに,私の博論の題目は,『高等教育就学機会の地域間格差に関する実証的研究』です。 https://ir.u-gakugei.ac.jp/handle/2

    東大生の出身地域
  • 学歴と犯罪

    昨年の2月29日の記事では,学歴別の刑務所入所率を計算したのですが,ここ2~3日ほど,この記事をみてくださる方が多いようです。日学歴社会といわれますが,学歴によって,刑務所入りする確率がどれほど異なるかは,世人の関心をひくところと思います。 むろん,この問題は興味位の次元にとどまらず,「社会階層と犯罪」という,犯罪社会学の重要テーマにも連なるものです。 今回は,分析をもう少し掘り下げてみたいと思います。先の記事では,全罪種をひっくるめた刑務所入所率を出したのですが,ここでは,入所率の学歴差を罪種ごとにみてみます。一口に犯罪といっても,コソ泥もあれば,よりシリアス度の高いものもあります。学歴による違いは,どういう罪種において大きいのでしょう。この点を吟味します。 法務省『矯正統計』の2010年版によると,同年中に刑務所に入った,男性の刑法犯新受刑者は16,497人だそうですが,その学歴

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