(前回の続き) 『寄生獣』はこのような文章から始まる。 地球上の誰かがふと思った 『人間の数が半分になったらいくつの森が焼かれずにすむだろうか……』 地球上の誰かがふと思った 『人間の数が100分の1になったらたれ流される毒も100分の1になるだろうか……』 誰かが ふと思った『生物(みんな)の未来を守らねば…………………………』 これはガイア理論のかなりトンデモ寄りな解釈――地球には超科学的な生命調整機能がある――を直接連想させるもので、実際にそこに着想を得ているとしか考えられない。 しかし、単行本の最終巻に収録されている作者の文章(長いので補足としてエントリ末尾に抜粋する)に述べられているように、連載中に作者の思想は大きく変わっていき、後藤にとどめを刺す前のミギーのセリフに結実する。 わたしは恥ずかしげもなく「地球のために」という人間がきらいだ……なぜなら地球ははじめから泣きも笑いもし