2015年、ゲームセンターで起きたケンカの捜査に、警視庁刑事部捜査1課が投入される異例の対応が行われた。被害者は、安倍総理の政策秘書経験者の子息。当時、刑事部長を務めていた中村格氏の意向を受け、釣(つり)宏志・捜査1課長(当時)が下した判断だった。中村氏による忖度捜査は、“総理ベッタリ記者”こと山口敬之・元TBSワシントン支局長の一件でも行われている。 【写真】忖度捜査に翻弄され続ける伊藤詩織さん *** ここで、中村氏のプロフィールを駆け足で紹介しておこう。毎年20人ほどが採用される警察庁キャリアは、30年余の時間をかけてふるいにかけられ、残った者が全国の警察官30万弱を統べる警察庁長官に就く。警視庁トップの警視総監も同様にキャリアから選ばれるが、同期から「長官・総監」が同時に出ることはほぼない。 福岡県出身の中村氏は、ラ・サール高から東大法を卒(お)えて1986年に警察庁へ入庁。警視庁