慶應義塾大学医学部医化学教室の加部泰明講師、末松誠教授(現AMED理事長)らの研究グループは、難治性がんを含む多くの悪性腫瘍で高発現している膜結合性ヘムタンパク質である PGRMC1 の構造を解明することで、がん細胞が増殖を活性化する仕組みと、抗がん剤に対する耐性を獲得するメカニズムを世界で初めて明らかにしたと発表しました。 さらに、重合化したPGRMC1は、がん増殖に関わる上皮成長因子の受容体(EGFR)と会合して、がん増殖シグナルを増強すること、また、薬物代謝酵素であるシトクロム P450 とも会合して抗がん剤の分解活性を増強し、がん細胞の薬剤耐性を促進することが分かりました。 本研究により、PGRMC1 はがん細胞内のヘム濃度に応答して重合化することで活性化し、がん細胞の増殖促進や抗がん剤耐性獲得に関与するというダイナミックな構造変換によって機能していることを明らかにしました。また、
この画像を大きなサイズで見る 米カリフォルニア州のシエラネバダ山脈で集団で生息していたという新種の発光ヤスデは、ホタルと違い体全部が発光しており、すぐそばまで近寄れば、ちょっとした文字が識別できるほどには明るいという。特殊なタンパク質が体を覆っており、それが硬い表皮の内側から発光するのだ。 youtube:Filming Glow-in-the-Dark Critters: #bestjobever この発光ヤスデはMotyxia属に属するものだ。生物が体を発光させる理由1つには、敵への警告があげられる。事実強い光を発するヤスデは、猛毒のシアン化物を最も多く持っていることが明らかとなっている。天敵の多い高地にコロニーを形成するようになり、そこで初めて毒があるという警告として発光が進化したのだ。 この画像を大きなサイズで見るyoutube:Filming Glow-in-the-Dark C
この画像を大きなサイズで見る 「ミトコンドリア」は、ほぼ全ての真核生物の細胞に含まれる細胞小器官である。真核生物は動物、植物、菌類、原生生物など、身体を構成する細胞の中に細胞核と呼ばれる細胞小器官を有する生物のこと。 だがこのほど、ありえないとされていたミトコンドリアなしで生きる微生物が発見されたという。 ミトコンドリアは真核生物の細胞(真核細胞)の中にある発電所のようなものである。真核細胞は細胞核と細胞小器官を備えている。中でもミトコンドリアは特に有名だろう。 「ミトコンドリアは真核細胞には必須の要素で、その証であると考えられてきました」と発見者であるカナダ、ブリティッシュコロンビア大学の進化生物学者アンナ・カルンコウスカ氏は説明する。 ミトコンドリアは独自のDNAを有しているため、かつては独立した細菌だったが、太古の時代に原始的な細胞に飲み込まれ、今日あるような複雑な生命へ進化したと考
岩田想 医学研究科教授(理化学研究所放射光科学総合研究センターSACLA利用技術開拓グループディレクター)、桝田哲哉 農学研究科助教、菅原道泰 理化学研究所特別研究員、鈴木守 大阪大学准教授、登野健介 高輝度光科学研究センターチームリーダーらの共同研究グループは、X線自由電子レーザー(XFEL:X-ray Free-Electron Laser)施設「SACLA」のX線レーザーを用いた「連続フェムト秒結晶構造解析(SFX)」において、タンパク質結晶輸送媒体としてヒアルロン酸が利用できることを発見しました。 これにより、SACLAのX線レーザーを用いたSFXでは課題となっていた試料の放射線損傷の問題を解決でき、30マイクロメートルサイズ以下のタンパク質微小結晶でも少量の試料消費量で、さまざまなタンパク質の立体構造(結晶構造)を決定できます。 本成果は、2016年4月18日に英国の科学雑誌「S
今田弓女 人間・環境学研究科博士課程学生(日本学術振興会特別研究員)と加藤真 同教授は中生代の化石として知られ、生きた化石ともいえる Litoleptis 属(双翅目シギアブ科)の新種6種を日本各地から発見し、分類学的位置と生活史を世界で初めて明らかにしました。 本成果は、2016年3月30日午前9時8分(2016年3月30日1時8分 グリニッジ標準時)、ニュージーランドの学術専門誌 「Zootaxa」に掲載されました。 陸上植物で最も古いコケ植物が植物を食べる昆虫とどのように関わりながら進化してきたのかは謎に包まれています。白亜紀という古い地層から化石が知られているシトネアブ属におけるコケ食の発見は、その問いに迫る上で重要な知見であると思います。 今回のシトネアブ類は、日本国内のあちこちでコケを採集・飼育 して、顕微鏡下でコケを食べている虫を探すという特殊な採集方法と地道な観察によって発
原田博司 情報学研究科教授らの研究グループは、株式会社ACCESSと共同で「モノ」のインターネット(Internet of Things、以下IoT)向け国際無線標準規格Wi-SUNを利用した有無線統合ネットワーク仮想化システムを世界初で開発しました。 現在、電気、ガス、水道スマートメーターサービスを統合する動きや、農業、医療等のセンサーサービスを統合する動きがあります。しかし、これま では新規開発されるサービスごとに IoTネットワークを構築するため、設備投資が増大していました。また、ネットワークのセキュリティモデルが異なるため、それぞれのIoT設計が複雑化 し、困難となっていました。今回のシステム開発により、同一回線を利用して仮想的に相乗りをすることができるため、これらのコスト、タスクが大き く削減されることを期待しています。 概要 現在、あらゆるモノが有無線を駆使し相互通信することに
丸山史人 医学研究科准教授は、国立研究開発法人海洋研究開発機構海洋生命理工学研究開発センターと共同で、有人潜水調査船「しんかい6500」、無人探査機「ハイパードルフィン」等により深海から採取した堆積物から、D-アミノ酸を好んで食べて増殖する微生物を発見しました。 また、本研究成果は、2016年4月19日に「Frontiers in Microbiology」誌に掲載されました。 本研究グループはD-アミノ酸を好む微生物の生態学上の役割、そして微生物細胞内でのD-アミノ酸利用の仕組みについて、研究を展開する予定です。深海微生物が有する物質代謝機能の理解をより一層進めていくとともに、それらを応用した新たな社会的価値や経済的価値を生み出すイノベーションの創出に向け、研究開発を推進していきます。 概要 タンパク質を構成するアミノ酸にはL-アミノ酸とD-アミノ酸の二つの鏡像異性体が存在しており、これ
本研究により、KUS剤にヒトの緑内障の進行を遅延させる可能性があることが分かりました。今後は国際的な基準に基づいた長期にわたる安全性試験が必要になりますので、実際に患者さんに投与できるまでに5年はかかると思います。また、治療法の存在しない急性の眼疾患に対して、KUS剤を眼内に注射し、安全性や神経保護効果を検討する医師主導治験を年内に開始できるように準備を進めています。 概要 緑内障は、日本において視覚障害原因の第1位の原因疾患であり、40歳以上の日本人の5%に緑内障の兆候があり、はっきりとした症状がある患者数は日本では300~400万人と推定されています。この病気では、網膜の神経節細胞(光信号を頭に伝える働きをする細胞)と神経線維(網膜の情報を頭に送る神経の線維)が変性・脱落することにより、視野障害・視力障害が徐々に進行します。現状では、薬剤や手術治療によって、眼圧(目の中の圧力)を下げる
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