春告げるサクラの科学 お花見の前に,知っておきたい‘染井吉野’のサイエンス 科学雑誌Newton 4月5日(木)10時48分配信 日本人にとって,現在最もなじみの深いサクラといえば,‘染井吉野’(ソメイヨシノ)であろう。‘染井吉野’は,ともに野生種であるエドヒガンとオオシマザクラの間にできた種間雑種に分類される栽培品種である。江戸時代後期に,江戸染井村(現在の東京都豊島区駒込)の植木屋がこれを「吉野桜」と称して売り出し,明治時代には全国に広まった。 現在では,日本全国の公園や土手などに植えられているばかりでなく,海外でも数多く植栽されており,染井吉野は日本を代表するサクラとなっている。 ■ クローン植物 ‘染井吉野’ こうして無数に数をふやした‘染井吉野’は,種子から育てたのではなく,すべて接ぎ木などによってふやしたものである。すなわち,すべての‘染井吉野’は,たった1個体を原木とす