家から外へ一歩出た瞬間から「帰りたいな」と思う。人生ずっと加藤ミリヤのディアロンリーガール状態(and i 今すぐ家へ帰りたい?)である。もはや家に帰るために外出している と言ってもいいかもしれない。 ていうか、なんなら家にいる時も家に帰りたいと思っている。 帰宅後、フローリングの上でデロデロに溶けて、虫の死骸が点々と透けた照明を眺める。輪郭から滲んだ光が天井と溶け合うように伸びて、「早く帰りたい」と思う。どこまでかえれば気が済むのか、自分でもわからないまま、「今すぐ帰りたい」という感情を爆弾のように抱えながら生きている。 帰りたい もちろん外出先で帰りたさの衝動に襲われることも多い。 例えば、雨で濡れた床と靴底の相性が最悪だった時。新しい服のタグが肌を刺す時。自然光に照らされたメガネのレンズが思いのほか傷だらけだった時。スカートにこぼしたアイスコーヒーの結露の跡が全然消えない時。ささくれ