世界的人気を誇る京都アニメーション第1スタジオ(京都市伏見区)が白昼に放火され、36人が犠牲になった事件は、アニメ業界に危機管理の再考を促した。ファンに夢を届けようと日夜奮闘するクリエーターに対し、敵意が向けられる理由はどこにあるのだろう。(報道部 岸本鉄平、本田貴信) 【写真】「夢を届けたい」犠牲になった天才アニメーターの願い 透明感のある、美しい映像がスクリーンに流れ始めた途端、涙がこぼれた。 9月に封切りされた京都アニメーション(本社・宇治市木幡)の「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。公開を待ちわびていた20代の男性は、映画館内でこう思った。「やっぱり、アニメが好き」 同時に、後悔と戸惑いがない交ぜになった感情がこみ上げてきた。 「大好きなのに、どうして、あんな事をしてしまったのか」 この半年前、自宅に10人近い警察官がやってきた。アニメ制作関係者に対する「殺害予告」を掲示