タレントというのは老境に達するほど、一種の“照れ”が出てくるものです。 例えば、ある若手芸人がいたとして、彼が売れるきっかけとなったギャグがあったとします。 その後はトークに司会にと大活躍。いつしかベテランと呼ばれるようになり、大河ドラマやヒューマンドラマ系映画の端役を務めたりもします。 そんな折に、招かれたトーク番組で昔のギャグをやるように要求されたら……。持ち前のサービス精神から、やるにはやるでしょう。けれど、昔のように全力ではありません。やり終わった後には照れくさそうな目をしてはにかんで見せるのでしょう。 この現象は、もちろん芸人だけに限りません。特に役者となると、これまで築き上げてきたイメージに反するような役柄を出来なくなる場合も多いのが実情です。 そういった意味で、松平健は類稀な役者といえるでしょう。50歳を超えた硬派な時代劇俳優が、スパンコールを散らしたような金色キラキラの着物