はじめは、ゆっくりとしたジョギングを共に行った。伴走者とランナーは輪になった1本のひもを互いに持ち、2人3脚のようにして走るが、このひもを持ったのもこの時が初めてだった。 日野さんの父親と同い年の近藤選手。彼女の話に、驚愕したことがあったという。 「近藤選手はお子さんが3人いるのですが、フルタイムで仕事もしている。朝早く起きて子どもたちのお弁当を作って、そのあと身支度して、電車やバスに乗って通勤する。もう、本当にすごいな、と。母親もしながら、さらに走ってイキイキとされている。こんな方の力になりたいと、本気で思いました」 親子ほど年が離れた2人だが、不思議とウマがあった。 「練習を時々見るくらいで、リオの地まで帯同するとは最初は思っていなかった」と明かす日野さんだが、気がついたら2週間に1回の練習が、週に1回、そして週に2回、3回と増えていった。2人の関係は「競技者と伴走者」以上の関係へと変