スーパーの屋上に停めた車に乗る前に、空を眺めた。 夏と秋の雲が同居したきれいな空だった。 地上にも駐車できるのに、好んで屋上に車を停めるのは、 辺り一帯の景色と空が建物に遮られず見えるからだ。 エンジンをかける。ラジオから賑やかなDJの声が聞こえる。 たまには違うFM局を聴いてみるか、と地元FMに切り替えてみた。 あれ?この曲… 初めて聴く男女のデュオが、 私が大好きだったアーティストの曲をカバーして歌っている。 あっという間にあの頃の私に引き戻される。 空を眺めながら曲を聴いた。 私が大好きだったきみはもういないし、 きみを大好きだった私もいない。 同じ人だけれど、 きみも変わった。 私も変わった。 ただただ一生懸命に生きていた。 泣いたり笑ったりしながら生きていた。 同じ時代に生きていた。 あの頃は、 「どうしようもない毎日だ」 と思っていた日々も 今思えばキラキラと眩しい日々だ。 懐