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ブックマーク / www.daiwashobo.co.jp (11)

  • 大和書房・WEB連載MOB〜40歳がくる! 雨宮 まみ vol06

    2015年の年始に、友達との新年会で、親との関係の話になった。私は親と、特別仲が悪いわけではないし、年に1~2回は帰省している。が、帰省して泊まるのは祖母の家で、自分が家を出てから、実家に泊まったことは一度もない。主な理由は、父だった。 私と父の関係が微妙になったのは、もとをただせば、当にくだらない話だ。まず、うちの父は厳しかった。娘を公務員にしたがっていて、九州大学に入れたがっていた。そして品行方正になってほしかったのか、単に心配だったのか「日が暮れたら外出禁止」という門限が課せられていた。そんなのは、私の世代でも、田舎の話であっても、ありえないくらい厳しい門限だった。 私は中学生の頃から、音楽を聴くことが好きになった。まず爆発的にハマってしまったのが、なんとB'zである。しかしこんな門限でライブなんか行けるはずもない。お金もない。私は知恵を絞り、土日だけ梅ヶ枝屋で時給500円のバイ

    toya
    toya 2018/11/15
    「私には父の人生は、わからない。私が父の人生を本当には知り得ないように、私は父の生きなかった人生を生きる」
  • WEB連載 : 40歳がくる! 雨宮まみ Vol.6 - 親が死ぬ

    2015年の年始に、友達との新年会で、親との関係の話になった。私は親と、特別仲が悪いわけではないし、年に1~2回は帰省している。が、帰省して泊まるのは祖母の家で、自分が家を出てから、実家に泊まったことは一度もない。主な理由は、父だった。 私と父の関係が微妙になったのは、もとをただせば、当にくだらない話だ。まず、うちの父は厳しかった。娘を公務員にしたがっていて、九州大学に入れたがっていた。そして品行方正になってほしかったのか、単に心配だったのか「日が暮れたら外出禁止」という門限が課せられていた。そんなのは、私の世代でも、田舎の話であっても、ありえないくらい厳しい門限だった。 私は中学生の頃から、音楽を聴くことが好きになった。まず爆発的にハマってしまったのが、なんとB'zである。しかしこんな門限でライブなんか行けるはずもない。お金もない。私は知恵を絞り、土日だけ梅ヶ枝屋で時給500円のバイ

  • WEB連載 : 40歳がくる! 雨宮まみ vol14

    11月15日、雨宮まみさんが急逝されました。 何歳になろうと、周囲にどう思われようと、自分の信じる道を強く美しく生きよう、と読者を励ましてくれたこの連載に、多くの方が救われてきたと思います。 今はただ、雨宮さんのご冥福を心よりお祈りしております。 私の世代の人間は、若いころから「自撮り」をしてきた世代ではない。そして、自撮りが流行り始めた頃には30代後半になっていて、自撮りをやっている若い子たちはというと、アングルもキメ顔もこなれているし、アプリの使い方も上手いしで、もうぜんぜんそのテクニックにはついていけないし、自分で自分の最高値を素直に叩き出そうとする感覚そのものが、私にはなんだか恥ずかしくて「無理!」という感じだった。たまに一人で、iPhoneに向かってキメ顔なんて……。iPhoneのカメラを自撮りモードにして自分の顔を見るだけで、「ッカー!」と謎の奇声を発しては、シャッターを押せず

    toya
    toya 2016/11/30
    「同じバカなら酔いしれた者のほうが人生楽しいんだ、ということを、私はinstagram及び自撮りや友達に撮ってもらう写真から教わった気がしている」
  • 訃報 雨宮まみさん - 株式会社 大和書房 生活実用書を中心に発行。新刊案内、書籍目録、連載エッセイ、読者の広場。

    訃報 雨宮まみさん(享年40歳) 2016年11月15 日朝、ライターの雨宮まみさんがご自宅で事故のため、亡くなられました。 心肺停止の状態で床に倒れているところを警察に発見されたとのことです。 葬儀は親族のみで執り行われ、一般のお別れの会は予定されていないということでした。 たくさんの人の心を救ってくれた雨宮さん、ご冥福をお祈り申し上げます。

    toya
    toya 2016/11/17
  • WEB連載 : 40歳がくる! 雨宮まみ vol11

    私は25歳でフリーライターになった。まぁ、名刺に「ライター」と刷ってはみたものの、そんなにすぐに仕事なんかもらえない。デザイン事務所で時給制でバイトさせてもらいながら、たまにもらえる書き仕事をする。そんな生活をしていた。もちろん、そんな生活でお金が儲かるはずもなかったが、25歳のときの私は、今よりずっとしっかりしていた。たった5千円でも1万円でも天引きで積立貯金をしていたし(そうするのがいいと『an・an』で読んだのだった。確かに口座にあると使ってしまう!)無駄遣いをしないことはなかったが、払いきれないような額のものをカードで無茶買いすることもなかったし、身の丈に合わない贅沢はせずに暮らしていた。 仕事がうまくいって、少しまとまった金額が入るときや、ものすごく忙しい時期を抜けてその原稿料が入ったときなど、「人生に一度ぐらい、贅沢をしてもいいんじゃないか」と思うことがあった。初めての体験はよ

    toya
    toya 2016/10/15
    「けど、自分がどんな人間で、何を書きたいか、そういうことについて、もう我慢したり、いい顔をしてごまかしたりしてる年齢じゃない、ということにははっきり気がついた」
  • WEB連載 : 40歳がくる! 雨宮まみ vol09

    40歳を前にして、急にそれまでに会ったことのないような人種の人と出会うことが増えた。野心があって、自分のしたいことに正直で、てらいがまったくなく、噓もないパワフルな人たちである。そして、そういう人たちはもれなくすごく軽やかで、自分に嘘がないから健やかでもある。 私は自分自身が、どちらかというと内向きな人間で、野心はあるものの、それをはっきり表に出すのはなんだか恥ずかしく、欲しいものにパッと手を伸ばすことができない人間である。そんな自分にとって、真っ直ぐにパワフルな人たちはまぶしすぎて、どうしても劣等感を感じてしまうから、無意識のうちにあまり近づかないようにしていたところがあった。出会っても「あの人は私とは違う」と、どこか一線を引くようなところもあった。 でも、そんなことをしていられなくなった。実際に会って、その人たちの屈託のなさ、ためらいのなさ、妥協のしなさ、自分を曲げない意志の強さ、世間

  • WEB連載 : 40歳がくる! 雨宮まみ vol08

    一年に一度だけ会う友達がいる。九州から年に一度上京してくる人だ。インターネット経由で知り合った人で、ブログはたぶん十年近く読んでいるのに、会ったことは数回という不思議な感じの関係で、上京してきたときに他の友達や、彼の奥さんと一緒に会う、というのがここ数年の習慣になりかけている。 今年も同じように、会うことになったのだが、そのときにこんなことを言われた。 「今年の雨宮さんは、勢いすごいですね。買い物もたくさんしてるし、地方の取材も自腹でバンバン行ってるし、やっぱり東京で生き残っていく人って、そういうパワフルなところがある人なんだなぁって感じしますね」 違う違う、そうじゃ、そうじゃない! と思わずミラーサングラスをかけて鈴木雅之を歌いそうになる気持ちをぐっとこらえた。 確かに今年に入ってからの私の金遣いの荒さは尋常じゃなかった。生まれて初めてハイブランドのバッグを買うぞ! と決めてGUCCIの

    toya
    toya 2016/09/01
    「つまらない女を卒業した、という思いを、今年初めて味わっている」
  • WEB連載 : 40歳がくる! 雨宮まみ vol07

    私はお酒がほとんど飲めない。ビール一杯程度で顔が真っ赤になるし、それ以上飲むと酔うどころか気持ちが悪くなる。そういう体質なのだろう、と思っていたし、「酔う」という感覚を味わったことがなかった。 初めてその感覚を知ったのは、36歳のときだった。歌舞伎町の風林会館という会場を借りたクラブイベントで、誰がおごってくれたのかわからない大量のテキーラのショットが回ってきて、あまりにもその場が楽しかったのでつい2杯ぐらい飲んでしまった。そしたらてきめんに酔った。酔いながら「あ、これが酔うって感覚なんだ」と思った。知り合いに会ってはハグし、知らないダンサーの女の子に「あなた最高! これ飲んで!」ってビールおごったり、普段の自分からは想像もつかないほどオープンマインドになっていて、酒が効きすぎて光はまぶしいし、視界も聴覚も狭まるような感覚があったのだけど、そこに聞き覚えのある音が聞こえてきて「あ、これto

    toya
    toya 2016/08/15
    「幾度もの嵐のあとで、嵐のあとに必要なものをすっと差し出せるような人になれたらいい」
  • 04裸になっていこう! - WEB連載 : 40歳がくる! 雨宮まみ

    私の世代のバイブルと呼ばれるドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』で、好きなエピソードがある。いや、好きなエピソードはそりゃあもういくつもあるのだが、「これ、私もいつかはやってみたい」と思って、覚えていたエピソードがある。それは、サマンサという性的に奔放な人物が、自分のヌード写真を撮って、部屋に飾る、というものだ。 彼女は、自分のことが大好きで、ナルシストな自分を恥じない。堂々としている。メインの登場人物4人の中で、彼女がいちばん美しいというわけではないのに(彼女が最年長である)自分の裸がきれいなうちに撮りたいと思ったら、撮る。臆面もなく腕の良いカメラマンに依頼して、最高の出来の写真を撮ってもらう。 若さを失うということは、可能性を失うということである。私はこの「可能性」という言葉が、若い頃は大嫌いだった。「若いんだからなんでもできる」なんて言われても、目の前にはいろんな壁があって、「なん

    toya
    toya 2016/07/01
    「そこに、私のような人間がいて、生きていて、それは大事なことなのだということをそのまま受け入れられているのが、とてもよかったのだ。 そういうことがこの世にはあるんだと知った。それで十分だった」
  • 03鏡、捨てたい! - WEB連載 : 40歳がくる! 雨宮まみ

    30歳を過ぎてから、私は老化について、顔のことばっかり気にしていた。とにかく老けるのは顔だと思っていたし、35歳を過ぎたあたりから、化粧品のカウンターでアンケートに出される、「お肌の気になる点にチェックを入れてください」という項目で「美白、肌のたるみ、シワ、毛穴、くすみ」のすべてに片っ端からチェックを入れるはめになった。「なんでもいいから全部に効くやつがあればくれ」。たぶんみんなそう思ってる。 まぁ、顔の老化は予想もしていたから、そこまで急にショックを受けることはない。目尻のシワなんて予想通りだし、ほうれい線もまぁこんなもんだろう。しかし、実際、顔以上にくるのが髪と身体である。 髪のことなんて、若い頃は気にしたこともなかった。くせがあるとか髪の毛の量が多いとか悩んだことはあっても、まさかこんなにコシがなくなり、白髪が出てきてしょっちゅう染めなきゃいけなくなり、バッサバサにパサついてくるなん

    toya
    toya 2016/06/15
    背中に肉が付きにくい派(体質というか遺伝)だったのに確かに40超えたら付くようになってしまって悲しい気持ちになりがち
  • バックナンバー : WEB連載 : 東京 雨宮まみ

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