我が代表堂々退場す―。歴史の教科書あたりで覚えている方もいるだろう。1933年の国際連盟総会。日本の松岡洋右全権が「サヨナラ」を表明し、退席したのを当時の新聞はそう報じた。 「満州国」をめぐり、ノーの勧告が採択された。日本は当初、満州国は正当だと言い続けるためにも連盟脱退は避ける腹だった。松岡全権本人も退場に至ったのは失敗と考えたというが、新聞にあおられた世論は大歓迎。こうして戦前の日本は世界から孤立していく。 先ごろ、正反対の図を見た。国連の会合。ウクライナに侵攻したロシアの外相がオンラインで演説を始めると、多くの外交団が一斉に退席した。スポーツ紙の表現を引けば、ロシアから見て「我が代表以外、堂々退場す」。 国連を舞台にした情報戦がなお激しくなっている。ロシアは、米国がウクライナで生物兵器開発に関わっていると主張。「陰謀論」「ばかげている」。欧米各国は、侵攻を正当化するための偽情報だと非