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ブックマーク / youcannotdie.hatenablog.com (5)

  • 「ものを売る」ふたつの原則 - 柳下さん死なないで

    「ものを売る」ということが、苦手だった。 むかし、出版社の営業をやっていたことがある。 屋さんにうかがって、担当のスタッフさんに会い、新刊のおすすめや既刊の補充の提案などをする。わたしはこれが当に苦手で、4年経っても全然慣れなかった。 なぜ今日売れたのか、なぜ今日売れなかったのか、まったくわからない。いつもおっかなびっくり、営業をしていたと思う。「無理して注文してくれたのではないか」という後ろめたさや、「もう来るな」と拒否されるのはないかという恐怖を、根拠もなく感じていて、毎日緊張で脂汗をかいていた。わたしは営業に向いていないんだろうな、といつも思っていた。 その数年後、今度は自分が小さな出版社をやるようになった。柳下さんと立ち上げた、文鳥社という出版社だ。設立した年に、短歌とイラスト『100年後あなたもわたしもいない日に』というを出した。営業をする前に、屋さんから注文があって

    「ものを売る」ふたつの原則 - 柳下さん死なないで
    toya
    toya 2019/09/14
  • 「誰がインタビュアーをインタビューするのか」問題 - 柳下さん死なないで

    先日、慶應義塾大学SFCの清水先生からお声がけいただき、「オーラル・コミュニケーション」ゼミにて、講義をさせていただいた。 お題は「聴くことと書くこと」について。 わたしがこれまでどのようにこのふたつと向き合ってきたのかを話してほしいと、メールをいただいたのだ。 受講生のみなさんはそれぞれプロジェクトテーマを持っていて、これからインタビューを控えているという。せっかく呼んでくださったのだ。そんな彼らに、少しでも役立つことをお話できたらと思い、自分の「インタビュー法」なるものをせっせとまとめた。 柳下さんは「僕も行くよ!」と言った。 担当編集者として同行してくれるのだそうだ。 「忙しいと思うし、ひとりでも大丈夫だよ」 と答えると、「僕も聞きたいんだ」と言う。 「君のインタビューは横で見ていて当におもしろいからね。あのインタビューがどんなふうに言語化されるのか、話を聴くのが楽しみだ」 それで

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    toya
    toya 2019/06/14
  • 文章に必要な「水分」と「油分」 - 柳下さん死なないで

    30歳を過ぎてから肌質が変わった。 前にもここに書いたけれど、そのころ、極端に肌が荒れた。あれは当に悲しかった。皮膚科に行って強い薬をもらってなんとか治したけど、すぐに再発するので参ってしまった。あれこれ試行錯誤した結果、おそらくこれだという原因がわかった。それは水分と油分の不足。若い頃には過剰な油分こそが肌荒れの原因だったのに、今度は少ない油分が原因だという。歳をとると油が抜けるから補えと。要はバランスだということだ。結局、スクワランオイルと保湿ジェルを使い始めたら肌荒れが落ちついた。今もそのふたつは手放せない。 それからことあるごとに、水分と油分について考える日々である。みずみずしさと、つややかさ。そのふたつがなくなると、かたくこわばってしまう。それは肌だけではなく、いろいろなことに当てはまる。たとえば文章。文章を書くのにも、水分と油分は欠かせない。 では水分と油分というのはなんなん

    文章に必要な「水分」と「油分」 - 柳下さん死なないで
    toya
    toya 2019/05/24
  • ライフイズカミングバック、あるいはアイアムカミングバック - 柳下さん死なないで

    この年度末、わたしがめちゃくちゃに情緒不安定だったというお話はもう何度かしたと思う。そのときにわたしを大いに助けてくれたのが、漫画だった。作品は冨樫義博の『HUNTER×HUNTER』。低迷期間は暇があればこの漫画ばかり読んでいて、当に救われていた。おかげで今は、だいぶ元どおりになっている。 今回の件でわかったことがある。それは、「現実逃避」の有効性についてだった。 わたしは「現実逃避」というのをあまりしない人間だ。元来心配性で臆病なので、逃避しているあいだに現実がどうなっているのか心配でしょうがなく、現実にかじりついて見守ってしまい、いつまでも手をねちねちとくわえてしまうところがある。そしてあれこれ思いをめぐらせ、ああなるかもしれないこうなるかもしれないとひとりくよくよし、いらない心配やいらないことまでしてしまい、結果的に疲弊する、ということになる。つまり、現実から逃げなかったために現

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    toya 2019/04/24
  • 「君はもう立派な大人なんだよ」 - 柳下さん死なないで

    突然だけどわたしは自己肯定感が低い。 もっとちゃんと言うと、自分を肯定したり信じるために必要な「自分の信頼」タンクがあるとすれば、多分そのタンクのどこかに穴が空いている。「自分はこういうことをやってきたじゃないか」「こういうことを考えてこういう答えを見つけたじゃないか」「そしてそれはこういうふうに評価されたじゃないか」という事実、いわゆる成功体験だとか経験だとかがコインとしてそこに貯まり、貯金のように自信というものが蓄えられていくのだとしたら、ふとタンクを見たときに「あれっ、ない」ということが結構多い。 使ってしまった? 盗られてしまった? そのどちらでもない。さっきも言ったように多分、わたしのタンクには穴が空いていて、そこから落としてしまったのである。 そのタンクになぜ穴が空いているのかはわからない。 もってうまれた形状・素材によるところもあるし、生育環境において損なわれたり補強されたり

    「君はもう立派な大人なんだよ」 - 柳下さん死なないで
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