糖尿病患者にとって、「おやつ」という言葉ほど忌まわしいものはない。 甘い誘惑は命取り。 けれど、どうしても何か食べたくなる瞬間が訪れる。 そんな時に耳にするのが「ハイカカオのチョコレートがいい」という甘美な噂。 カカオ70%、80%、いや90%以上。 糖分が少なく、ポリフェノールたっぷりで体にいい、なんて言葉が並ぶ。 医者も「食べてOKだ」と背中を押す。 しかし、一口かじってみれば現実が牙をむく。 甘さはどこにもなく、口の中にはビターすぎる苦味が広がる。 「これがチョコレート?」とさえ思う。 誰がこんなものを「おいしい」なんて言ったんだ? それでも、血糖値との戦いを強いられた体は選択肢がない。 ハイカカオをかじりながら、かつての甘いミルクチョコレートの記憶がよぎる。 それはもう、手に届かない夢のようなものだ。 そして、ふと思う。 「こんな苦いものにこんな高い金を払う必要があるのか?」確かに