左はKrauss Planar-Zeiss 60mm F3.5, 中央はBiotessar 10cm F2.9, 右はDoppel-Protar 147mm F7である 1886年にZeissのErnst Abbe(エルンスト・アッベ)とOtto Schott(オットー・ショット)は後のレンズ設計の分野に革命的な進歩をもたらす新しいガラス硝材の開発に成功した。その硝材は原料にバリウムを加えることで透過光の分散(色滲み)を抑え、しかもレンズの屈折率を大幅に向上させるというもので、イエナガラス(新ガラス)と呼ばれるようになっている。イエナガラスを光学系の凸レンズに用いれば像面特性を規定するペッツバール和の増大を抑えることができ、従来のクラウンガラスとフリントガラスでは困難とされてきたアナスチグマートの実現が、いよいよ現実味を帯びてきたのである。4年後の1890年にZeissのPaul Rudo