1970年代のことだが、記憶したい事柄をカセットテープに自ら録音しておき、それを寝ている間に自分に聞かせて暗記する「睡眠学習」なるものが話題を集めたことがあり、専用の機材──枕にタイマー機能付きカセットレコーダーを仕込んだもの──が販売されていた。しかし、眠っている間に聞こえた内容が脳の長期記憶に入るというのは間違いで、効果があるように感じるのは結局のところ記憶したいと自分が思った内容を録音する際に声に出して読むので、その際にある程度は記憶してしまうというカラクリだったらしい。 その後、記憶に関する脳の研究が進み、確かに睡眠と記憶には深いつながりがあることが分かってきている。眼球が速く動くREM(rapid eye movement)睡眠中に、昼間見聞きしたことを脳が再構成して、短期記憶から長期記憶に移す作業が行われているらしい。 サンフランシスコのシープドッグ・サイエンス社(Sheepd