人口問題は率で議論されることが多い。日本の人口変化としては、「少子化」「人口減少」「高齢化」などがあるが、少子化については「出生率」、人口減少については「人口減少率」、高齢化については「高齢化率」で議論されることが多い。いずれも「率」の議論だ。 本シリーズで取り上げている人口オーナスについても、私は「生産年齢人口の比率が低下していくこと」が本当の問題だと考えてきた。これも率で見ていたわけだ。私は前著『人口負荷社会』(2010年、日経プレミアシリーズ)を出した時には、「人口問題の基本は率だ」と考えていた。 しかし、その後いろいろ議論してみると、人口問題の深刻さは「率」だけでは捉えきれないことが分かってきた。「人口問題は率も重要だが、それに劣らず数も重要だ」ということなのだ。今回はこの点について述べよう。 出生率と出生数 まず、少子化、人口減少問題について考えよう。この点でしばしば議論の的にな
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