NTTデータビジネスコンサルティング 酒井幸良,照井栄介 前回紹介したように,CRM(Customer Relationship Management)に取り組んだ多くの企業のトップは,「CRMが期待通りの結果に至らない」という点を嘆いている。なにしろ,CRMに取り組んだ日本企業で「期待通りの成功」と答えたのは5%未満にすぎないのだ。 では,なぜ失敗したのだろうか――。CRMという基本的な考え方そのものは正しい。失敗した原因が,その取り組み方にあるのは間違いない。 そこで,過去に失敗したCRMの事例を詳しく分析してみると,いくつか共通する原因が浮かび上がってきた。「スコープ」「進め方」「定着化活動」という3つの観点で取り組みが不十分だったのである。まずは,それぞれを詳しく見ていこう。 失敗するCRMのワナ1◆スコープが「狭い」 CRMが失敗する典型パターンの1つは,CRMのスコープが不適切