10年前、ヨーン・リセゲンのメディア情報分析会社「メルトウォーター」は窮地に立たされていた。グーグルとヤフーが鳴り物入りで彼の縄張りに足を踏み入れてきたのだ。 契約した顧客にメディアに掲載された情報をモニタリングするメルトウォーターの有料ビジネスは、突如として先行きが厳しくなった。グーグルアラートが同様のサービスを無料で提供し始めたからだ。 しかし、ビジネスを縮小するかと思いきや、リセゲンは積極的な採用活動に乗り出した──5年間で十数カ国にまたがる3000人の応募者を、自ら面接したのだ。 型破りな解決策を見つけるため、リセゲンが選んだキャラクターはユニークだ。 例えば、スウェーデン経由でアメリカに渡ってきたイラン人の難民をエグゼクティブ・ディレクターに据えた。また、神学校修了間近のハンドボール選手、セバスチャン・ゲイズを採用した。聖職者になるよりもメルトウォーターで働くことを選んだ理由をリ