「ドリアンのデビュー作がやばい!」と言ってピンと来ない人も、「七尾旅人とやけのはらの“Rollin’ Rollin’”のアレンジを手がけた男のデビュー作」という紹介をすれば、俄然興味を持ってくれることと思う。そして、実際にこのデビュー作『Melodies Memories』を聴けば、そんな「第三の男」としての評価を超え、ドリアンというアーティストの虜になるかもしれない。80sディスコ風味たっぷりのきらびやかでロマンティックなトラックの数々は、それだけの可能性を秘めている。そんな素晴らしい作品を発表したドリアンだが、音楽を諦めかけた、苦しい時代もあった。そんなドリアンが赤裸々に語ってくれたのは、自らの個性である「Melodies」にたどり着くまでの物語と、今も音楽活動の根底に存在する「Memories」への複雑な思いだった。 (インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:柏井万作) ―親は音楽に