21歳にして将棋界の8大タイトルを独占──藤井聡太八冠の活躍で、かつてない熱狂が巻き起こっている。研究にAIを活用する“新時代の天才棋士”は、27年前に当時の7大タイトルを制覇した羽生善治九段とどこが似ていて、何が違うのか。そして、強いのはどちらか。文壇きっての愛棋家である逢坂剛氏と黒川博行氏が語り尽くした。【前後編の前編。後編を読む】 * * * 黒川:いやぁ、やっぱり藤井くんはバケモノですね。逢坂さんは王座戦の第1局を生で観戦したんでしょう? 逢坂:控室で佐藤康光さんと森内俊之さんに解説してもらいながら観ました。先の読めないスリルとサスペンスの連続で、極上のミステリーのようだった。勉強になったけど、持ち時間は5時間もあるし、緊張感もあってさすがに疲れたね(笑)。 〈10月11日に行なわれた王座戦第4局で、挑戦者の藤井聡太七冠が永瀬拓矢王座を破り、全八冠制覇を達成した。タイトル独占は当時