私たちは自らをホモ・サピエンスと名づけた。自分達を「賢い人」と呼ぶ私たちは、アフリカ大陸で捕食者に怯える、取るに足りない動物であった。なぜ、その取るに足りない動物である「サピエンス」が現在のような食物連鎖の頂点に立ち、地球を支配するような存在になったのだろうか。 15万年ほど前に東アフリカで細々と暮らしていたサピエンスは7万年ほど前になると突如、地球上のあらゆる場所に侵入し、他の人類を絶滅に追い込む。それ以前のサピエンスは複雑な道具を作る事もなく、他の人類に対しこれといった強みを持っていなかった。解剖学的には8万年前の人類と今の人類の間に大きな違いは存在しない。見た目は同じだが太古のサピエンスは脳の構造が私たちと違っていたと推測されている。およそ7万年前を境目にしてサピエンスの認知的能力に劇的な変化が起きたのだ。 「認知革命」がなぜ起こったのかは、最新の研究でもわかっていない。理由はともあ